「頭を使ってやらないといけないことも増えたのかな。ボールを受けた時、ドリブルするのか、パスして1回受けるのかっていう判断の速さはついてきていると思います」と、浅野は新天地での進化を改めてこう説明していた。それだけ複数の役割を代表でもスムーズにこなしてくれるなら、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督としても非常に有難いはずだ。

 先発1トップでピッチに立てれば本人としても最高だろうが、仮にジョーカーでトップ、あるいはサイドで使われたとしても、浅野の爆発的スピードは間違いなく有効だ。同じリオデジャネイロ・オリンピック世代の久保裕也(ヘント)がUAE戦で1ゴール1アシストという華々しい活躍を見せただけに「自分も結果を残す」という思いは一段と強まっている。長友佑都(インテル)も「久保を見ていると同じ世代の頃のギラギラした自分を思い出す。あの時の気持ちを忘れたらダメだと思いますね」としみじみ語っており、浅野が後に続けば、ベテラン勢の危機感はより強まるに違いない。日本代表の競争激化とチーム底上げ、そして浅野自身の代表での地位確立を果たすためにも、とにかくチャンスが訪れたら確実にゴールを奪うこと。それを日本屈指のスピードスターには強く求めたい。

文=元川悦子