「すごい納豆 S-903」は花粉症、インフルエンザ、通年性アレルギー性鼻炎の症状が和らいだという実験結果が得られた菌を使用している。

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■「おかめ納豆」のタカノフーズが新商品を発売!

健康や美容によいとされる食品は世の中に数多く存在するが、伝統的な健康食品の定番といえば、やはり「納豆」はハズせないだろう。

納豆というと、あの独特のにおいや“ネバネバ感”が特徴だが、どうしてもそれが苦手で「まったく口にしない」という人も少なくない。しかし、そんな特徴をむしろ魅力に感じて、毎日のように食卓に並べている人も一方でたくさんいる。

そんな納豆の定番ブランドのひとつ「おかめ納豆」を手がけている納豆メーカーが、茨城県小美玉市に本社を構えるタカノフーズだ。1932年の創業以来、一貫して納豆中心に手がけてきた老舗メーカーである。一般的な納豆だけでなく、香りや粘りを強くした納豆や反対ににおいを抑えて粘りを弱めた納豆、発酵コラーゲンを加えた納豆など、さまざまな納豆を製造・販売してきた。

タカノフーズは今年2月27日、新たな製品を市場に投入。その名も「すごい納豆 S-903」である。研究・開発になんと12年もの歳月を費やし、ようやく発売まで漕ぎ着けたという。まさに “満を持して”の発売だ。

「すごい納豆 S-903」は、いったい何が“すごい”のだろう。今回、タカノフーズで研究員を務める小林知世氏に話をうかがった。「納豆菌が人体の『免疫機能』にどのような影響を与えるのか、といった基礎研究や、それらをもとにした商品開発を行っている」という小林氏。この「すごい納豆 S-903」を食べることである症状が和らぐと説明する。

「弊社では、『免疫力を高める』をキーワードに、12年間にもおよぶ研究を行ってきました。そして、さまざまな実験を繰り返す過程で、この『すごい納豆 S-903』を食べなかった人よりも、食べた人のほうが、花粉症の症状が比較的落ち着くという傾向が見られたのです」(小林氏)

■「すごい納豆」が花粉症の症状を和らげる!?

この実験というのは本当に多様で、動物や人を対象に行っていったという。人に対しては、たとえば花粉症の症状がある50人を対象に、そのうちの半数には1日1パックの納豆を10週間続けて食べてもらい、残りの半数には同じ期間まったく納豆を口にさせない、といったテストを行った。その後、鼻アレルギー診断ガイドラインに基づいて得られた情報を解析。すると……、摂取4週間ほどで「花粉症の症状が和らいだ」という人が結果的に多かったというのだ。

タカノフーズでは2000種以上の納豆菌の採取に成功し、保有しています。そのなかでも『903番目』に登録された菌が免疫力の高い納豆菌だったのです。商品名になっている『S-903』の頭文字のSは、納豆菌の学術名(Bucillus subtilis=枯草菌)と健康をサポート(Support)するSから名付けました」(小林氏)

免疫力を高めるという「S-903」だが、花粉症の緩和以外には、どんな効果が期待されているのだろうか。

「インフルエンザや通年性アレルギー性鼻炎への影響を確認した実験でも結果を得ることもできました。花粉症に加えて、それらの症状で困っている人の助けになればいいなと思っています」(小林氏)

東北地方などには、古くから『風邪のひき始めに納豆汁』という生活訓が伝えられている。この言葉が示すとおり、納豆は従来、『なんとなく身体にとってよいもの』というイメージが付帯されてきた。しかし、だ。

納豆が身体によい、と断言できるような科学的な証明は、まだ十分になされていないというのが正直なところです。そこで我々が『免疫力を高める』をキーワードにして研究を進めることで、納豆は本当に健康によいのだと立証できたらいいなと。それが、研究開発のモチベーションになっていました」(小林氏)

現段階では、納豆に含まれている食物繊維が腸内環境を整え(プレバイオティクス)、ねばねば成分であるレバンと納豆菌が、腸内の免疫細胞に働きかける(プロバイオティクス)……という大きく2つの働きが納豆に認められつつある。それにより、納豆がプレバイオティクスとプロバイオティクスの両方の機能を備えた「シンバイオティクス」という食品である可能性がわかってきたそうだ。

なお、納豆花粉症に効果を発揮するメカニズムを簡単に説明すると、腸にはウイルスや細菌といった有害物資の侵入をブロックする免疫細胞が身体全体の60〜70%も存在しており、納豆菌はこの免疫細胞を活性化させる役割を果たす、という寸法。最近では、免疫細胞のひとつである樹状細胞が、細胞内に納豆菌を取り込むことにより免疫機能を高めることがわかってきたという。

そんななか、納豆菌S-903は2002年に発見され、同社では2005年より研究を開始。しかし、そこから実際に商品として完成するまでには、かなりの年月を費やした。

「S-903菌を使った商品を開発することは決まっていたのですが、それを使ったところで必ずしも美味しい納豆になるとは限りません。商品として世の中に出す以上、味にもこだわらなければならず、それを踏まえて研究を重ね、ようやく納得のできる商品ができたのです。その結果、12年という歳月がかかってしまいました」(小林氏)

12年のときを経て送り出された「すごい納豆 S-903」。はたしてどんな味がするのか、とても気になった記者は、さっそく店頭で購入して食べてみた。

■「すごい納豆」の味は? 花粉症への効果は?

これまでタカノフーズから発売されてきた商品のほとんどは、味が濃く、粘りが強いというイメージを持っていた。では「すごい納豆 S-903」は?

実際に食べてみたところ、あっさりしていて食べやすいという印象だ。ベタベタもしておらず、においもキツくない。前出の小林氏は「ライト」または「淡白」と表現していた。

先に記したように「すごい納豆 S-903」の最大の特徴は、花粉症、インフルエンザ、通年性アレルギー性鼻炎の症状が和らいだという実験結果が得られた点にある。では、効果を実感するためには、どれくらい食べればいいのだろうか。

納豆菌は、体内に溜まっていく『常在菌』ではないため、排泄すると体内からなくなってしまいます。つまり、毎日食べ続けることがとても大事なのです。薬とは違い、大量に食べても副作用はありませんので、そこはご安心を。もし納豆が苦手なのであれば、味噌汁に入れると『なめこ』感覚になって、食べやすくなるかと思います」(小林氏)

現在、納豆菌は2000種以上が確認されているわけだが、その数は日々増えているという。

「今後は、『機能性のある納豆菌』に着目して、さまざまな商品を開発したいと考えています。そしてこれまで以上に納豆のよさを知ってもらい、人々の健康に寄り添っていけたらなと思います」(小林氏)

「すごい納豆 S-903」は、現時点で、もっとも免疫力を高める効果が確認できた納豆菌を使っているわけで、食べ続ければ一定程度、身体の免疫機能を向上させてくれることだろう。もちろん、効果に個人差はあると思うが、せっかく納豆を食べるのであれば、より花粉症の症状を緩和してくれる可能性が高い商品を選びたいものだ。

(小山田滝音=文)