Jデビューを飾ったGK廣末陸

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[3.25 J3第3節 F東23 1-0 相模原 味フィ西]

 ついにプロとしての第一歩を踏み出した。今年度の全国高校選手権で青森山田高の悲願の初優勝に貢献したFC東京GK廣末陸は、J3リーグに参戦するFC東京U-23の一員として第3節SC相模原戦で先発出場を果たしてJデビューを飾った。

 今季、中学時代を過ごしたFC東京に“復帰”した廣末だったが、J1リーグの試合にはGK林彰洋、GK大久保択生と経験豊富な選手がメンバーに名を連ね、J3リーグに参戦するF東23の先発には廣末と同期となるGK波多野豪(ユースから昇格)が起用されていた。本人も「本当になかなかうまくいかない時期が続いた」と唇を噛むが、相模原戦ではU-20日本代表に招集された波多野がドイツ遠征のため不在となり、廣末に先発出場の好機が巡ってきた。「波多野選手がU-20代表に呼ばれて不在というのは分かっていた。チャンスが来るとしたら、ここだろうと思っていたし、良い準備をできた」と、スターティングメンバーに名を連ねて試合を迎えた。

「緊張するタイプではないので、ただ試合を楽しもうと思っていた」。そう試合に臨んだ廣末は、前半28分にゴールを脅かされたものの、MF普光院誠の枠を捉えたミドルシュートに横っ飛びで反応すると片手で弾き出してゴールを守り抜く。その後は守備面での見せ場は限られたが、持ち味となるキックで魅せる。凄まじい勢いで飛び出す正確無比なロングフィードを最前線に構える187センチのFW原大智に届けるだけでなく、最終ラインにシンプルにボールを預けるなど、冷静に状況を判断してキックを使い分けて組み立てに参加した。

「キックは自分の持ち味。そこが自分と波多野選手の違いでもあると思っているので、そういう部分で、違いを少しでも出せればと思っています」

 後半は守備陣の粘り強いディフェンスもあり、相模原のシュートをわずか2本に抑え、廣末はデビュー戦でチームを1-0の完封勝利へと導いた。これがチームの今季初白星となり、「ホーム、西が丘という、観客と選手の距離が近いスタジアムでプレーできたのが、すごくうれしかったし、何よりチームの流れを変えられたのが本当に良かった」と安堵の表情を浮かべた。

 初めてのJの舞台で感じたのは「サポーターの熱気」だったようだ。青森山田高在籍時、FC東京U-18とプレミアリーグで対戦することがあったが、対戦相手として感じていたFC東京サポーターの存在は「相当嫌だった(笑)」。それだけのプレッシャーを掛けられていたと振り返る。昨季のプレミアリーグ最終戦はFC東京の小平グラウンドで行われており、「ゴール裏までサポーターの方に囲まれて、対戦相手としては最悪だった(笑)」。しかし、「いざ応援される立場になると、こんなにも心強い存在なんだと実感しました」と応援してくれるファン・サポーターの後押し、そして存在の大きさを感じたようだ。

 対戦相手となった相模原には、元日本代表のGK川口能活が在籍。98年生まれの廣末にとって、23歳上の大先輩は「憧れの人」だった。それは、なぜかというと、廣末は183センチ、川口は180センチと、GKとしては決して長身ではないという共通点があるからだ。「身長が決して高くない中でも、あれだけの素晴らしい功績を残している方なので、僕にとってはすごい憧れの人だし、能活さんを越えるくらいの気持ちでやっていきたい」と視線を上へと向ける。この日、ベンチスタートとなった川口に出場機会は訪れずに“共演”は叶わなかったものの、試合後には言葉を交わす場を設けてもらったようで、「プロの世界の厳しさなどを教えて頂き、最後は『頑張れよ』という言葉を頂けたので、負けないように頑張りたいと思います」と決意を新たにしている。

 公式戦に出場し、プロの世界を肌で感じたからこそ、「ピッチに立ちたい」という思いはより強くなる。「いざ、一度この舞台に立ってみると、またこの場所でサッカーをしたいと思います。そのために、日頃から努力を続けて、一歩一歩やっていきたい」。大きな一歩を踏み出した18歳は、二歩目、三歩目と足跡を残すため、さらなる進化を誓った。

(取材・文 折戸岳彦)
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