AIで心臓発作を予防 モバイルヘルス企業「AliveCor」が34億円を調達

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シリコンバレーのモバイルヘルス企業「AliveCor」は、AIを活用して心疾患予防に革新をもたらそうとしている。同社が開発した99ドルの携帯心電計「カルディアモバイル(Kardia Mobile)」は、機械学習により心電図の異常を検知し、不整脈の早期発見や脳卒中の予防に役立つ。

AliveCorのCEOは、マイクロソフトとグーグルで要職を歴任したVic Gundotraだ。同社は3月16日、医師と患者を繋げるプラットフォーム「Kardia Pro」をリリースした。AIが心房細動などの心疾患を検知すると医師に知らせ、早期治療を可能にするという。

AliveCorはまた、オムロンヘルスケアやメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)などから総額3000万ドル(約34億円)を調達したことも明らかにした。これで同社の累計調達額は4300万ドルを超えた。メイヨー・クリニックは、昨年AliveCorと業務提携を締結していた。Kardia Mobileは心臓専門医から高い評価を得ており、Kardia Proと組み合わせることで利便性がさらに向上することが期待されている。

「Kardia Proのリリースは、不整脈や脳卒中の早期発見につながる大きな進歩だ。将来的には他の心疾患の検知に役立てるとも可能だ」とシーダーズ・サイナイ・メディカルセンターとUCLA医科大学院で教授を務めるRonald Karlsberg博士は述べている。

AliveCorは2010年に設立され、2015年にグーグルの幹部だったGundotraがCEOとして参画した。GundotraはGoogle+の立ち上げ責任者だったが、フェイスブックに対抗しようという試みが失敗に終わり、グーグルを退職していた。「我々の目標は、心疾患の発見・治療を変革し、全ての人に役立つサービスを提供することだ」とGundotraは話す。

アメリカ人の死因の1位は、男女ともに心臓病だ。疾病予防管理センターによると、アメリカでは毎年60万人もの人が心臓病で死亡しているという。これは、全ての癌の死者数を上回る。

米国FDA認証も取得。患者の負担を軽減

Gundotraが目指すのは、Kardia Mobileを体温計のようにあらゆる家庭に普及させることだ。Kardia Mobileは、クレジットカードの半分ほどの大きさで、薄さは数ミリしかない。Kardia Mobile はFDA認証を取得しており、ユーザーは病院に行かなくても約1分で心電図を測定することができる。

著名な心臓専門医で、ICTの医療への活用に関する著書があるEric Topol博士も、Kardia Mobileを高く評価する。「これは革新的な製品だ。Kardia Mobile のお陰でER(救急救命室)に担ぎ込まれた患者の数は大幅に減少した」とTopol博士は述べている。

Karlsberg博士の患者であるGeorge Talleyは、これまで心電図検査を受けに月に2-3回は通院していたが、Kardia Mobileを使うようになってから自由な時間が増えたと喜ぶ。「以前は原因不明の体調不良に襲われると、脳卒中か心臓発作を起こすのではないかと不安になっていたが、今では心電図を手軽に確認できるので安心だ」と彼は話す。

Kardia Pro上には、体重や血圧、日々の活動内容なども共有され、医師は心電図と合わせて患者の様々なデータをトラッキングすることができる。また、AIが患者ごとに心臓のプロフィールを作成し、心電図が通常の状態からかい離すると、すぐに医師に警告を発する。

AliveCorの主な収益源はKardia Mobileの販売で、販売網を持つ企業との提携交渉を進めているという(イギリスでは国民保健サービスでカバーされる)。今後は、Kardia Proの月間利用料を医師と患者の双方から徴収する予定だ。「5年後には、全ての心臓専門医にとって、AIを活用した我々のツールは必要不可欠なものになっているだろう」とGundotraは話す。