テロ現場を素通りした女性が物議を醸す(出典:http://metro.co.uk)

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英ロンドン・ウェストミンスターでのテロ事件から数日たった現在も、英メディアは事件の様子を途切れることなく伝えている。犠牲となり帰らぬ人となった通行人や警察官のためにアカウントが設置されたオンライン募金サイトには、追悼の意を込めて多くの寄付が集まっているが、一方でテロ現場に居合わせた人達への批判もネット上で起こっている。

英国民を震撼させたテロ現場で22日、不謹慎にも自撮りをした男性がツイッターで猛批判を受けたが、今度はある女性がバッシングの対象となってしまった。

ツイッターで「Texas Lone Star」と名乗る男性は、テロ事件の現場を写した映像が明らかにされると、多くの人が負傷者の救助にあたっているウェストミンスター橋で、薄い茶色のスカーフを頭に撒いたムスリム(イスラム教徒)の女性が、左手で頬を抑え右手には携帯電話を持ちながら、現場の様子に立ち止まることもなく足早に素通りしている姿に目を留めた。

そして「Texas Lone Star」さんは22日、ツイッター上で女性を「モンスター」と批判した。「テロ事件にまるで関心のないムスリム女性は、電話をチェックしながら負傷した人の真横を素通り」とツイートし「#PrayForLondon」「#Westminster」というロンドンテロ関連のハッシュタグと共に「#BanIslam(イスラム教徒を排除しろ)」というタグも添えた。さらに「ムスリムとクリスチャンの違い」とツイートし、その女性の写真の横に必死で救助活動にあたる通行人の白人の姿も投稿した。

このツイートはたちまち拡散され、この男性を支持する声も見受けられたが、多くのユーザーたちはムスリムに対して差別意識を明らかにしている男性に反論した。

「恐怖で直視できなかったのかも知れないわ。この女性のすぐ後ろの白人の女性だって同じように頬に手を当てて歩いているじゃないの。」
「女性の顔を見てみなさいよ。強張っているじゃないの。スカーフの裏に隠れた女性の真意や気持ちなど、あなたにはわからないでしょう。」
「あなた、本当に人として恥ずかしい人ね。」
「こういうツイートは嫌悪を引き起こすだけで何の必要性もないわ。ツイートする前に考えたらどうなの。」

また、アカウント名「Adam truth」さんは、同じ現場で白人男性が同じように素通りしている写真を投稿し、「白人の男性もこんな風に現場を急ぎ足で素通りしている。その男性には批判はしないのかい?」とツイートし、別のユーザーも「本当のモンスターはお前だろ」と「Texas Lone Star」さんを批判した。

ほとんどのユーザーは、「このムスリムの女性は自分の家族に無事だったことを伝えているのでは」と推測し「こんな風に批判されてかわいそう」と女性を擁護している。その後批判の対象となった女性本人が、反ムスリム社会の被害に遭っている人たちをサポートする「Tell MAMA」というサイトに投稿し、概ねこのように綴った。

「私の姿がネットで取り上げられてとてもショックを受けています。私は凄惨なテロ現場を目撃したことで深い悲しみに沈んでいました。あの写真ではわからないことですが、私は実際に何が起こったのかを目撃者に尋ね、何かできることはないかと聞きました。仕事の帰りだったため、家族に私が無事であることを電話で伝え、私のそばにいた女性をウォータールー駅まで送って行きました。」

さらに、この写真を撮影したジェイミー・ロリマンさんも『ABC』に「女性はとても悲痛な面持ちで怯えているようだった」と証言しており、女性は「Tell MAMA」で「私を擁護してくださったロリマンさん、有難うございます」と感謝の気持ちを記している。

人々の心を悲しみに突き落とすテロ事件が起こると、それに便乗したかのようなムスリムの人たちに対する差別コメントや差別行為が蔓延する。無関係の人を恐怖に陥れるという行為は、テロ事件後も残念ながらあとを絶たない。

出典:http://metco.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)