湯浅政明監督(右)に信頼を寄せている様子を見せていた永井豪

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 永井豪の傑作コミックを原作とするNetflixの新作アニメ「DEVILMAN crybaby」スペシャル生対談が25日、東京ビッグサイトで開催中の「AnimeJapan2017」内で行われ、永井、湯浅政明監督が同作について語り合った。

 原作コミックの「デビルマン」は、壮絶なクライマックスが伝説と化しているが、これまで放送されたテレビアニメ、オリジナルビデオなどではそのクライマックスが描かれることはなかった。しかし、永井豪デビュー50周年という記念の年を経て、本作ではついに“原作漫画の結末までのアニメ化”を実現させる。「湯浅監督なら、現代的なセンスでやってくれるんじゃないかと期待しています。オリジナルビデオなどでは完結までいかなかったのですが、今回は完結までいってくれるということで。楽しみにしています」と笑顔を見せた永井。

 原作が描かれた1972年当初は、学生運動やベトナム戦争の影が色濃かった時代。「『デビルマン』にはそういう時代の空気が流れていると思います」と切り出した永井は、「何かに乗り移られたような気持ちで描いていて、あとでゲラが届いた時に、どこからこんなセリフが出てきたのだろうと思うことがたびたびありました」と述懐。どこか熱病のようなものにうなされていた、としみじみ付け加える。

 一方の湯浅監督は「自分が永井先生になるくらいの気持ちで。永井先生が今、『デビルマン』を作ったら、こう作るだろうなという気持ちでやりたい。そのうち永井先生みたいに、描いたことを忘れるくらいになりたい」と意気込みを語る。その監督に対して永井は「そういう意欲のある人がいらっしゃるなら、どんな挑戦もオッケー」「クリエーターにはそれぞれの個性がありますし、好きなものを作った方がいいものができあがる。だから僕に合わせなくていい。思う存分やっていただいて構いません」とお墨付き。永井は『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』を観て、すっかり湯浅ファンになったといい、「この監督なら『デビルマン』のシュールな世界を作れる監督だと確信しました。カチカチに描くと『デビルマン』というのは無理がありますが、あれくらい強引な手法には合っているんじゃないかなと思いました」。

 今回のアニメは「ラストがわかっているので、今度はそこにたどり着くためにどうしたらいいだろうと逆算して構成を進めています」という湯浅監督は、「物語は現代の話に落とし込んでいます。現代の作品という覚悟を決めるために、デビルマンという作品が過去にあった作品世界、デビルマンという作品がある世界で起きる出来事として作っています」という意味深なコメントを発するひと幕も。さらに今回は不動明と飛鳥了との関係性もしっかりと描き出すという。「もちろん明と了の物語ではあるんですが、おそらく今まで作られた映像作品の中では一番、ある種、了の物語だと思って作っています」という湯浅監督に対して永井も、「実は自分も後半になって、本当の主人公は了だなと気付いたんです。(湯浅監督は)やっぱりわかってくれているな」と満足げな表情だった。

 アニメは2018年初春に動画配信サービスNetflixにて世界190か国に配信予定。9か国語の吹き替え版、25か国語の字幕版と、世界的なプロジェクトとなる。「配信ということで、永井先生の作品を描く上で必要なバイオレンスやエロチックな要素も限界まで頑張って出せる」という湯浅監督は、「期待に応えられる作品だと思います」と会場の期待をあおると、永井も「早く来年にならないかな。早く観たいです」とワクワクが止まらない様子だった。(取材・文:壬生智裕)

「DEVILMAN crybaby」は2018年初春より動画配信サービスNetflixにて配信予定