■稀勢の里の連勝が途絶える

 24日、大相撲3月場所の13日目が行われ、新横綱稀勢の里に初めて土がついた。これまで盤石な相撲が多かった稀勢の里の対戦相手は、同じく横綱の日馬富士。先場所は休場をしていて横綱の威厳を示したい一番に気合は十分だった。

 日馬富士には、もう一つどうしても勝っておきたい理由があった。自身の優勝は厳しいものの弟弟子の照ノ富士に援護射撃をしたいからだ。星の差一つで追う照ノ富士は一つ前の対戦で横綱鶴竜を下している。ここは是が非でも白星を挙げ存在感をアピールしたい一番である。

 立ち合い一気に稀勢の里を押す日馬富士の馬力は強かった。今場所の稀勢の里は相手が勢いよく攻めてきてもどっしり構えてまずは受けて、それから相手を料理するという相撲が多かった。この相撲内容は全盛期の白鳳の取り組み方のようで安心感と安定感があった。しかしさすが横綱というべきだろう、日馬富士の馬力が一枚上回り一気に土俵外に押し出した。

■痛恨の一敗

 稀勢の里にとってはもちろん痛い一敗だが、それ以上に気がかりなのがケガである。土俵から落ちた際に左肩から胸部を負傷した。一度は立ち上がろうとした稀勢の里だったが再び座り込み最終的には救急車で大阪市内の病院へ搬送された。ずっと苦悶の表情を浮かべ「痛みがあって動かすのが怖い」と話したという噂まで出ている。

 下手すれば今場所の休場だけでなく選手生命にもつながりかねない敗戦である。待ちに待った日本人横綱誕生から1場所も立たないうちに暗雲をほのめかしてしまうこととなった。一ファンとして個人的な意見を言わせてもらえるのであればもちろん明日の取り組みを行ってほしい。しかし、これまで休場したことの無い稀勢の里が(一度千秋楽で休場したことはあるが、その取り組みは不戦敗扱いとなり「休」の文字はついていない)ここまで痛がるのは初めてだ。

 大事に至らないことを願いたいが、尋常でない痛がり方から見て、恐らく重傷ではないかというのが一般的な見方だ。

■田子の浦の転落

 もしこのまま稀勢の里が休場ということにでもなったら優勝争いが一気に3敗力士にまで広がる。そうなってくると照ノ富士を筆頭に、日馬富士、高安、栃煌山に絞られる。今場所好調で話題を常にさらってきた田子の浦部屋から一転、いきなり伊勢ケ浜部屋が急上昇してきた。

 高安と稀勢の里が連動しているのではないかと思うほどの転落ぶりに目を伏せたくなるファンは多いだろう。まずは14日目、高安が兄弟子に力水を付けられるような一番を取れることを期待したい。そしてその力水をもらった稀勢の里が強さを見せつけてくれることを切に願う。