“偵都ヨコハマ”を舞台に、ホームズ探偵学院に通う、探偵見習いのシャロ、ネロ、エリー、コーデリアの4人が怪盗たちに立ち向かう/(C)ミルキィFFPN製作委員会

写真拡大

【連載】聖地巡礼さんぽ〜あの作品の街を歩く〜Vol.32

【写真を見る】ホームズ探偵学院に通い、一人前の探偵を目指すミルキィホームズ/(C)bushiroad/Project MILKY HOLMES

漫画や映画、ドラマなど、人気作品の舞台となった街を散策し、“住みたい街”としての魅力を深堀していく本連載。ここからみんなの“住みたい街”が見つかるかも?

第32回は、ゲームやマンガ、小説、カードゲームといったメディアミックス企画として展開されるアニメ「ミルキィホームズ」シリーズ。「探偵オペラ ミルキィホームズ」「探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕」「ふたりはミルキィホームズ」「探偵歌劇 ミルキィホームズ TD」の4作がレギュラー放送され、特別編や劇場版なども制作された人気作だ。

“トイズ”と呼ばれる特殊能力を持つ探偵と怪盗が活躍する、近未来の世界“偵都(ていと)ヨコハマ”が舞台。一人前の探偵を目指し、ホームズ探偵学院に通うシャロ、ネロ、エリー、コーデリアの4人(ミルキィホームズ)。そんな彼女たちが事件の捜査や怪盗との対決などを通じて、成長していく姿が描かれている。今回は“偵都ヨコハマ”のモデルとなっている横浜市のなかでも、元町・中華街エリアをピックアップして紹介。

■ 「横浜美術館」

たくさんの美術品があるため、怪盗たちによく狙われ、再三登場している。「探偵オペラ ミルキィホームズ」第3話では国宝“ハマのヴィーナス”、「劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ 〜逆襲のミルキィホームズ〜」では、“安っちぃ宝石”が盗まれてしまった。

実際は、セザンヌやピカソのほか、幕末・明治期以降の横浜にゆかりのある作家・長谷川潔など、国内外の幅広い美術作品をコレクション。横浜が日本における写真発祥の地のひとつであることにちなみ、ロバート・キャパなどの写真コレクションが充実しているのも特徴だ。

年に数回行われる展覧会だけでなく、土粘土遊びや、絵の具でのペインティング、紙の工作ができる小学生以下の子供に向けたプログラム「親子のフリーゾーン」を月に3回程度行っている。ほかにも、子供向けのアート講座や、絵画教室をはじめとした大人が参加できる美術プログラムも充実しており、横浜市民のアートの発信基地となっている。

■ 「山下公園」

ミルキィホームズにあこがれる少女、カズミとアリスを主人公にした「ふたりはミルキィホームズ」。その第4話で、アリスがカズミに自分のトイズに対する本音を打ち明けたのがここ。盾として守るだけだと思っていた自分のトイズが、カズミのトイズをパワーアップさせることができると気づいたアリス。二人で協力して怪盗を撃退したことで、アリスは守るだけではなく、自分も怪盗を捕まえたかったと話す。このほかにも、敵である怪盗帝国と戦うシーンが描かれるなど、シリーズを通じてたびたび登場する。

関東大震災のがれきを埋め立てて作られた公園は、沈床花壇によるバラの名所としても有名。港を臨む景色とあわせ、市民の憩いの場として親しまれている。

また、公園前の海に、重要文化財に指定されている日本郵船氷川丸が係留。1930年に太平洋横断シアトル航路へ就航した当時を代表する高速貨客船で、現在は当時の資料をもとに改修されたアールデコ様式の一等食堂などが見られる。

■ 「横浜マリンタワー」

「探偵オペラ ミルキィホームズ」10話で敵である怪盗帝国のリーダー、アルセーヌに破壊されたのがここ。試験で不合格になり、探偵学院退学の危機が迫るミルキィホームズ。そんな中、怪盗帝国が現れ、彼らを捕らえることで挽回しようと意気込む4人だったが、ダメダメっぷりをいかんなく発揮してしまう。一方、宝を盗みだした怪盗帝国は横浜マリンタワーへ。ライバルであるはずのミルキィホームズのふがいなさにアルセーヌはいらだち、タワー上部を壊してしまう。このほかにも、第2幕のオープニングでミルキィホームズの4人が展望フロアの上に座っていたりと、作品中でも偵都ヨコハマのランドマークとして描かれている。

灯台のようなフォルムの外観が印象的で、08年までは実際に灯台としての役割も果たしていた。106mという高さをいかし、地上から94ⅿの位置に展望フロアを備えており、みなとみらいや大黒ふ頭、山手エリアを一望できるほか、天気がよければ富士山まで見渡せる。展望フロアとしては地上から近い位置にあるため、夜にはみなとみらいなどの灯りが目の前に広がっているような迫力のある夜景が見られるのもマリンタワーの魅力のひとつだ。

「フェリス女学院大学音楽学部の学生や卒業生による演奏会、FM yokohamaさんの番組の公開収録ライブなど、観覧無料のイベントを月に各1回行っています。特に地元の人に人気が高いのは、335段の階段を昇って展望フロアに行く『階段 de GO! GO!』です。横浜市民の方は、階段イベントご参加で展望フロアの入場料が1割引きになります!」(インフォメーションシニアアドバイザーの石橋節子さん)。

■ 「横浜元町ショッピングストリート」&「ウチキパン」

みなとみらい線の元町・中華街駅を出た所にあるのが、横浜元町ショッピングストリート。約600mの通りに500軒近い商店が軒を連ねており、春と秋に行われる大きなセール「元町チャーミングセール」など、商店街をあげて開催されるイベントが多いのもここの魅力だ。

1860年ごろから、山手が外国人居留地になったことで、元町で商売を始める人が増えたのが成り立ちで、現在でも100年を超える老舗が多く残っている。そのなかのひとつが、創業129年の歴史を誇り、地元の人たちから愛されるパン店の「ウチキパン」。創業時の味を守る「イングランド」をはじめ、食事系や菓子パンなど多彩なパンがそろう。

現在の店主で、商店街のまちづくり企画委員長でもある打木豊さんは「日本の商店街で初めて、電線を地中に埋めたり、店舗の1階部分をセットバックして、ひさしのような形にしました。それらは、商店街の景観を守るための取り組みで、街が常にきれいなのが治安のよさにもつながっており、周辺の人たちの住みやすさへの評価になっているのだと思います」と語る。

「横浜元町ショッピングストリート」は「ふたりはミルキィホームズ」の第1話で、カズミとアリスが学校帰りに立ち寄り、憧れのミルキィホームズが食べたというクレープを買って、4人について話していたシーンで描かれている。取材時に、このようにアニメで描かれていたことを伝えると、「実はこの商店街も昔は、女子高校生や大学生が多く集まっていたころがあったんです。なのでこのような描かれ方はうれしいですね」と笑顔で話してくれた。

■ 「横浜赤レンガ倉庫」

「劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ 〜逆襲のミルキィホームズ〜」で、ヨコハマ各所で安っちい宝石を盗む謎の怪盗団と、アルセーヌたち怪盗帝国が対峙したのがここ。自分たちの美学に反する怪盗団を懲らしめるため、横浜赤レンガ倉庫にやってきた怪盗帝国だが、返り討ちに遭ってしまう。

明治末期から大正初期に建設された国の模範倉庫の外観を、ほぼそのまま利用した文化・商業施設。関東大震災や空襲などを乗り越え、100年以上の時を超えて当時の姿を残すレンガ造りの建物は、異国情緒あふれる雰囲気。施設内にはレストランやカフェなどの飲食店や、雑貨店などの物販店舗のほか、展示スペースやホールも入っている。

「1号館と2号館の間にあるイベント広場では、自然の里山のような空間を再現した『NAKANIwA(ナカニワ) 〜FLOWER GARDEN 15th anniversary〜』(4月1日〜)など、毎週イベントが楽しめます。また1号館では、地元の大学などによるアート作品の展示も行っているので、観光客の方だけでなく地元の方にも好評をいただいております」(広報担当の本多康介さん)。

美術館をはじめ、街のいたるところにランドマーク的なスポットが散りばめられている横浜。さらに元町・中華街エリアは、オフィスビルが立ち並ぶ近代的な風景だけでなく、西洋的な雰囲気も感じられる新旧入り混じった街並は、近未来を舞台にしたミルキィホームズの世界ともリンクする。

そんな元町・中華街エリアは、横浜赤レンガ倉庫をはじめとした商業施設が多く並び、横浜美術館といった文化施設も備える。さらに、おいしいお店が立ち並ぶ中華街もあり、それでいながら、少し離れた元町や山手の周辺は、異国情緒のある落ち着いた雰囲気で、のんびりした時間が流れる住宅街になっている。また、「ウチキパン」の打木さんが「元町の人は新しいものが好き。老舗でも常に新しいものを生み出しています」と話すように、トラディショナルなことを守りつつも、新しいものを受け入れたり、生み出すことで、常に新鮮な雰囲気を感じさせる。

また、作品から誕生した声優ユニット「ミルキィホームズ」は、過去に横浜スタジアムで始球式も行っており、4月には横浜アリーナでライブを開催するなど、横浜との結びつきも強い。アニメ「ミルキィホームズ」シリーズに登場したスポットを巡り、元町・中華街の魅力を感じてみては。【東京ウォーカー/小松孝裕】

第33弾は4月上旬配信予定