韓国統一省が20日に発刊した「2017統一白書」によると、昨年1年間に韓国入りした脱北者は計1418人で、久しぶりに前年を上回った。

韓国に入国する脱北者の数は2009年には2914人に達したが、金正恩体制になって以降、減少傾向が続いていた。理由として考えられるのは、国内経済の若干の好転と、当局による中朝国境の監視強化、そして脱北の厳罰化と秘密警察の暗躍などだ。

やりたい放題

それが再び増加に転じたのは、正恩氏の恐怖政治と国際社会の対北朝鮮制裁強化に理由があると見られる。とりわけ、海外に派遣されたエリート層や外貨稼ぎの労働者の脱北が急増したことが大きい。ただ、中朝国境での取り締まりはいっそう強化されており、今後も脱北者が増え続けるかは未知数だ。

そんな中においても、ひとつの明らかな傾向が見える。脱北者に占める女性の比率が増え続けており、昨年は全体の79%(1119人)を占めたのだ。

国営企業などの職場で統制を受ける男性に比べ、市場で商う女性らは行動の自由度が比較的高く、脱北に向けて行動を起こしやすい。

だが、理由はそれだけではないだろう。男性本位の北朝鮮社会で、女性らは著しい不利益を被っている。とくに、権力者はやりたい放題だ。

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部隊の全員が

2008年に脱北し、現在はNGO・ニューコリア女性連合代表として北朝鮮女性の人権擁護のために活動しているイ・ソヨン氏は、韓国紙・文化日報に衝撃的な証言を行っている。イ氏はかつて、北朝鮮で軍隊に所属していた経歴を持つ。

「家父長的な北朝鮮社会では、家庭暴力がまん延しています。職場での性差別とセクハラも深刻です。とくに男性中心の雰囲気が強い軍隊内での性暴力は言葉にするのもはばかられるほどです。(中略) 1999年当時、私がいた中隊は4個小隊で構成されていたのですが、そのうちひとつの小隊にいた30人余りの女性兵士全員が中隊長により強姦されました。中隊長は毎日、女性兵士を呼び出して性的関係を強要するのですが、これを告発できる被害者はひとりもいなかった」

こうした情報は以前から耳にしているものではあるが、聞くたびに愕然とさせられ、慣れるということがない。

イ氏らは最近、米国のNGOなどと協力し、中国における人身売買など、北朝鮮女性に対する人権侵害を国連の重要議題とするための活動を行っている。そして、それが実現した日には独裁者である金正恩党委員長が、女性に対する迫害者として厳しい追及を受けることになるのである。