チャン・ウェイ監督

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 ニューヨーク開催の Socially Relevant Film Festival で上映された映画『デスティニー(原題) / Destiny』について、チャン・ウェイ監督が3月17日(現地時間)にE-mailでのインタビューに答えた。

 本作は中国を舞台に、9歳の自閉症の息子を抱える母親の葛藤を描いたもの。母親、田琳(リャン・ジンクー)は、自閉症の息子、喜禾(フォン・チュン)の将来を考えて仕事を辞め、息子を普通学級に通わせることを決意する。当初は学校も協力的だったが、喜禾が同級生に暴力を振るったり、奇声を発したりしたことから、生徒の母親らが喜禾を特別支援学級に通わせるよう、学校側に抗議する。しかし、母親には息子を普通学級に通わせる深い理由があった……。

 特定の科目において、自閉症の子供が健常者よりも優れている場合があるが、自閉症の子供が学校で長時間、精神的に安定した状態で過ごすことが難しい場合もある。ウェイ監督は「中国では、普通学級のクラスに2〜3人、軽度の自閉症の子供の入学を許可している。自閉症の子供たちのほとんどは、公立の特別支援学級や支援学級のある私立の学校に通っている。ただ、公立の特別支援学級では、その(学校と同じ)都市で永住権の登録をしている自閉症の子供しか受け入れないため、その都市以外に住む自閉症の子供は、高い授業料を払って、私立の特別支援学級に通っているケースが多い」とシステムの現状を明かした。

 母親と息子のキャスティングについて「田琳を演じたリャンは、20人の女優の中から選び、彼女には実際に長い間、自閉症の子供たちにどのように対応するか、訓練を受けてもらった。さらに子役のフォンには、自閉症の子供やその家族たちと過ごしてもらい、彼らと共に買い物、勉強、地下鉄乗車などさまざまな行動を共にしてもらった。実際に観察してもらうことで、説得力のある、感動的な演技ができたと思う」と称賛した。

 ウェイ監督が今作を通して観客に伝えたいこととは。「自閉症の子供たちが、大人になったら一体どこに行くのか? ということ。現在、特別支援学級が十分に足りていないことと、自閉症の大人を受け入れる(社会の)機関が少ないことで、自閉症の子供を抱えた家族は、将来どうしたら良いのかを観客に問いかけている」。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)