提供:週刊実話

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 春場所の土俵を見ていて「軽い」と感じていたのは角界雀ばかりではあるまい。体重は落ちてはいないはずなのに土俵上の白鵬(32)の取り口を含めて、存在自体がかる〜く見えたのだ。心技体の“心”が折れた瞬間だった。

 まさか、最初に脱落するのが白鵬だとは…。
 稀勢の里フィーバーで盛り上がる大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)もいよいよ終盤戦。新横綱稀勢の里と関脇高安はともに初日から10連勝(21日現在)と、田子ノ浦部屋の勢いが止まらない。果たして賜杯を抱くのは誰か。連日、熱戦が繰り広げられているが、本命視された白鵬が17年ぶりに出現した4横綱揃い踏みの状態からまさかの第1号の脱落者となり、日本中のファンはどよめいた。
 白鵬が休場したのは5日目。プレッシャーをはね除けて好スタートを切った稀勢の里とは対照的に、初日に続いて4日目の勢戦でもあっけなく敗れて2敗となり、その白鵬らしからぬ負けっぷりが話題になった。そして5日目、右拇指捻挫と右大腿筋群損傷で全治3週間という診断書を提出。実にあっさりと姿を消してしまった。白鵬の休場は去年の秋場所以来、横綱になって3度目だ。

 そもそも4横綱時代というのは、先に上がった横綱たちが衰え、それまでのような強さがなくなったために起こる現象だ。そうでなければ、横綱が4人もできるワケがない。このことは、いずれの4横綱時代も短命だったところにも表れている。17年前の曙、貴乃花、若乃花(2代目)、武蔵丸の4横綱時代も、たった5場所しか続かなかった。1場所で終わったこともある。
 今回も長くは続かないであろうことは、序盤戦で見せた日馬富士や鶴竜の不甲斐ない相撲からも想像に難くないが、この休場で白鵬の衰えぶりも予想以上に深刻であることが分かった。
 「場所前は元気そのものでした。稀勢の里らのいる田子ノ浦部屋に出稽古に行き、高安ばかりでなく、稀勢の里とも6番取って4勝2敗と勝ち越して健在ぶりをアピール。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)も、『まだまだやれるってことが確認できたんじゃないか』と目を細めていました。休場の原因はケガとはいえ、信じられないという顔の親方衆も多かったですね」(大相撲担当記者)

 気になるのは、気力の衰えだ。以前は負けると顔を真っ赤にして相手を睨みつけたものだったが、最近は淡々としたもの。
 「(今場所は)仕切っている時から元気がないというか、今までのような闘志が感じられなかった」(藤島審判部副部長=元大関武双山)
 すでにモチベーションの低下は明らかだったのだ。

 優勝も、記録も、できることはすべて達成し、残るは引退だけだが…。
 一人横綱を支え切った時代も孤独な土俵だった。さすがの「大横綱白鵬」も満身創痍に違いない…。不死鳥のごとく蘇って来ることを期待したい。