Doctors Me(ドクターズミー)- ピルでがんリスクが3割減 避妊だけじゃないピルの健康効果【最新研究】

写真拡大

2017年3月22日(水)避妊などのために服用されるピルが、がんリスクを減少させる可能性があることが、イギリスのアバディーン大学で行われた研究によって明らかになりました。(参考)

副作用などが懸念されているピルですが、今回の研究によって新たな治療の可能性が見えてきました。一体ピルにはどのような作用があるのでしょうか。

今回はイギリスで行われたピルに関する研究内容や、避妊効果だけじゃないピルの基礎知識を医師に解説していただきました。

イギリスで発表されたピルとがんに関連する研究


元々、ピルを常用している女性は乳がんや子宮頸がんのリスクが高くなることが知られていました。

しかし、2017年にイギリスで発表された研究によると、生殖可能年齢においてピルを内服していた女性では、子宮体がん、卵巣がんのリスクは34%減少し、大腸がんのリスクは19%減少することが判明しました。

また、予防効果はピルを飲まなくなってから30年間も持続することもわかりました。

理由として、ピルは卵巣からの排卵を停止させ、卵巣を休ませる働きがあるため、卵巣がんの発生率が低下するのではないかと考えられます。

《参照》
・THE Sun

ピルとは


二つの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を含む薬で、容量や配合は様々です。食前食後などは関係なく、毎日決まった時間に内服します。

本来卵巣から放出されるはずの女性ホルモンを内服すると、血中の女性ホルモン濃度が上がり、脳が「すでに女性ホルモンが十分あるから、これ以上出す必要はない」と判断し、体が妊娠しているのに近い状態であると判断します。

体が妊娠している状態に近くなると、脳からの排卵指令をするホルモンが出ないため排卵が起こらなくなります。

また、低用量ピルに含まれる女性ホルモンは、通常の月経周期で血中に存在するより量が少ないため、子宮内膜が厚くならず、月経量が減ります。

ピルの種類


中用量、高用量ピル


含まれるホルモンの量が比較的多い薬です。月経不順や不妊症のとき、強制的に月経周期を整えるために使用したり、月経の日を移動したり、避妊に失敗した場合の緊急避妊薬(モーニングアフターピル)として使用されます。

低用量ピル


ホルモン量が比較的少ないため副作用が少なく継続して内服しやすい薬です。避妊目的や子宮内膜症治療目的で使用されます。

低用量ピルには、薬の配合によって1相性と3相性があります。1相性は毎日同じ薬を21日間飲み続けるもの、3相性は1週間ごとに配合の違う薬を飲むものです。

超低用量ピル


2010年から販売されている新しいピルで、低用量ピルよりさらにホルモン量が少ないものです。

避妊には効果が不十分で、子宮内膜症に対する治療に使用されます。

ピルの効果


避妊


排卵抑制と子宮内膜成長抑制作用により、毎日忘れず内服すれば非常に高い避妊効果を得ることができます。

女性が自主的に避妊できる方法ですが、飲み忘れると排卵が起こり避妊に失敗する可能性があります。

月経困難症、子宮内膜症の改善


ピルを内服すると、血中のホルモン量が安定するため、月経前症候群や月経困難症が改善します。

また、月経血の量が減り、腹痛も改善し、子宮内膜の成長が通常より少なくなるため、子宮内膜症にも有効です。

ニキビや多毛症の改善


ニキビや多毛症は男性ホルモンが多すぎることによる症状であり、女性ホルモンを内服することで改善するとされています。

しかし、ピルの種類によってはかえって悪化することもあります。

ピルの副作用


血栓症


エストロゲンは血液凝固因子を活性化し、プロゲステロンはコレステロールや糖の代謝を変化させるので、脚などの血管に血の固まりができ、様々な部分につまって症状を引き起こします。

足の血管につまればむくみやふくらはぎの痛みを生じ、脳につまれば脳梗塞となります。肺につまればいわゆるエコノミークラス症候群となり、呼吸困難や胸の痛みを生じます。

40歳以上や、喫煙している場合、元々糖尿病や脂質代謝異常がある場合はリスクが高くなります。

乳がん、子宮頸がん


今回の発表でもある通り、ピルを内服している女性の方が起こりやすいと言われています。

その他


プロゲステロンの作用によって以下のような症状が現われることがあります。

・頭痛
・吐き気
・乳房の張りや痛み
・体重増加
・微熱

副作用は特に飲み始めに多く、薬を吐いてしまうこともありますが、内服していくうちに治ってくることがほとんどと言われています。

病院でピルが処方される流れ


既往歴や内服薬、喫煙の有無、糖尿病や脳梗塞の家族歴について問診があり、体重や血圧を測定しますが、ピル処方だけを希望され、特に他に症状がない場合は内診はないこともあります。

また、ピルの飲み方や飲み忘れたときの対処法、副作用が出たときの対処法を指導されます。

ピル1シートを処方され、内服し終わったころに副作用や内服状況を確認されますが、調子よく内服できているようなら、以後は時々診察や血液検査を受けながらピル処方を受けることになります。

ピルが服用できない人


思春期前


月経があってもホルモン状態が不安定であり、またエストロゲンを内服すると骨の成長が停止すると言われています。

たまに月経日をずらすときには使用されますが、定期的にピルを内服することは通常ありません。

40歳以上


血栓症のリスクが高くなると言われており、慎重な処方が求められます。病院によっては40歳以上には処方しないこともあります。

肥満、糖尿病、脂質代謝異常がある、禁煙が出来ない


程度にもよりますが、血栓症リスクが高くなりますので頻繁に血液検査を行うなどの対策が必要です。

また、35歳以上で一日15本以上喫煙している場合は通常処方されません。

妊娠中、授乳中


妊娠に気づかずピルを飲んでしまっても胎児に影響はないと言われていますが、授乳中はピルにより母乳の量が低下するとされています。

常用薬がある


薬によってはピルとの飲み合わせが問題になる場合があります。

最後に医師から一言


ピルは女性主体で避妊できる便利な薬です。避妊以外にもがんのリスクを下げることが確認されました。

ピルのメリットとデメリットを知り、ご自身に合った避妊方法を選んでください。

(監修:Doctors Me 医師)