マリー、ジョコ欠場で第2シード。錦織圭、マスターズ制覇の大のチャンス
マイアミ大会を前に、抱負を語ってくれた錦織圭 錦織圭は、ATPランキングを自己最高タイとなる4位に戻して、マイアミに帰ってきた。
「マイアミはリラックスできます。フロリダに住んでいるので、ホームのように感じます」
こう語る錦織は昨年、強敵を立て続けに破って、グランドスラムに次ぐマスターズ1000(以下MS)グレードのマイアミ大会で初めて準優勝を飾ったのだった。
「マイアミではいつも良いプレーができていましたが、特に昨年はタフマッチもありましたけど、初めて決勝に進出できていい思い出になりました」
直近のMS1000・インディアンウェルズ大会の準々決勝で敗れた後、錦織は一旦、拠点を置くブラデントンに戻り、しっかり休養をとって調整してからマイアミ入りをした。
今年の大会はアンディ・マリー(ATPランキング1位、3月20日付け、以下同)が右ひじのケガによって、さらにディフェンディングチャンピオンのノバク・ジョコビッチ(2位)もひじのケガによって、いずれも欠場を表明したため、錦織は繰り上がってマイアミで初の第2シードを獲得した。
ただ、「2人が出なかっただけなので、特に何も思わないです」と錦織は、いつもどおり泰然自若としている。
錦織はシード選手のため1回戦はスキップとなり、初戦となる2回戦で、1回戦を勝ち上がったケビン・アンダーソン(74位、南アフリカ)と対戦する。対戦成績は錦織の2勝1敗だ。
さらに順当にいった場合、3回戦からはシード選手との対戦が始まり、第25シードのフェルナンド・ベルダスコ(30位、スペイン)で、錦織の2勝2敗。4回戦では第15シードのパブロ・カレノ ブスタ(19位、スペイン)で、未対戦。準々決勝では第7シードのマリン・チリッチ(9位、クロアチア)で、錦織の7勝6敗。準決勝では第3シードのミロシュ・ラオニッチ(5位、カナダ)で、錦織の5勝2敗だ。
プロ10年目を迎えている錦織だが、ちょうど10年前のマイアミ大会はツアーデビューを飾った思い出がある。
ジュニア時代からマイアミ大会を訪れ、ジュニアの部でプレーするだけでなく、トップ選手の試合も観戦して貴重な経験を積んだ。
そして、2007年のマイアミ大会で、当時17歳の錦織はワイルドカードを獲得して、ローランギャロス(全仏)優勝者で元世界ナンバーワンのグスタボ・クエルテン(ブラジル)と組んだダブルスに初出場し、プロ転向(2007年9月)より先に、ツアーのひのき舞台でプレーしたのだった。
「今、トップ10にいることを嬉しく思います。(2007年のダブルスでは)とてもナーバスになって、コートでどんなプレーをしたか全然覚えていません。でも、クエルテンのようなトッププレーヤーとプレーできたのは素晴らしい経験でした」
プロ10年のキャリアを振り返ると、「早いかもしれないですね」と錦織は、感慨深げに思いを巡らす。
「10年の間にいろいろたくさんありました。10年と聞くと、すごい長いような響きなので。でも、プロになって新鮮な1、2年目の思い出はよく残っていますし、すごく早いなという印象があります」
錦織の基本スタイルは、「いつもランキングは見ないし、日本でナンバーワンとかアジアでナンバーワンとか、気にすることはありません。ただ、自分自身のやるべきことにフォーカスするだけです」とマイペースを貫くもの。しかし、今後、錦織が見据えるMS1000大会やグランドスラムで大きな結果を残すためには、今回復帰した世界ランク4位以上のポジションをキープしていくことが、彼にとってキーポイントになってくる。
「もちろん、それはすごく大事な位置です。4位と5位の差も大きいので、なるべくキープしていきたいですね」
錦織は今のポジションを守る第一歩として、昨年のマイアミ準優勝によるランキングポイント600点をディフェンドしなければならない。
「ここは毎年いい結果が出ているので、なるべくポジティブな気持ちで(いきたい)。コートも先週(インディアンウェルズ)とだいぶ違うので、この速さ(マイアミのコートの方が少し速い)を活かしてプレーしたいですね」
果たして、マリーとジョコビッチが不在のマイアミオープンで、錦織が目標の一つにしているMS1000大会の初優勝を、第2シードというポジションを活かして勝ち取ることができるかどうか。一見チャンスが到来しているようにも見えるが、MS初タイトルへの道のりは決して簡単なものではない。錦織圭の真価が問われるような非常に重要な戦いが始まる。
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