攻守両面で際立った活躍を見せた今野。藤田氏はこのベテランをUAE戦のMVPに推す。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ロシア・ワールドカップのアジア最終予選。後半戦の初戦となるアウェーのUAE戦で、日本は2対0で勝利した。
【PHOTO】ハリル采配ズバリ! 日本、UAEを撃破
 
 昨年9月のホーム戦では1対2と逆転負けした因縁の相手だったが、蓋を開けてみれば日本の圧勝だった。立ち上がりからずっと日本がペースを握り、攻守両面で素晴らしいパフォーマンスを発揮した。自らのミスパスから危ないシーンを迎えてしまったのはいただけなかったが、総じてこの日の日本の戦いぶりは賞賛すべきものだった。
 
 この日の焦点は、長谷部の穴をいかに埋めるか、だった。
 
 しかし、絶対的キャプテンの長谷部の負傷離脱というアクシデントが、ポジティブに作用し、かえってチームの結束力を高めた結果となったように見えた。代わりにキャプテンマークを巻いた吉田の集中力は凄まじかったし、アンカーに入った山口も長谷部の動きそのものの安定したプレーを見せていた。
 
 そして、長谷部の背番号17をつけてプレーした今野が、長谷部の穴を埋める働き以上の出来栄えを披露したことが、なによりの証拠だろう。
 
 守備ではボール奪取能力を見せつけ、キーマンであるO・アブドゥルラフマンの自由を奪い続けた。同じサイドには長友、原口がいたけれど、今野を含めたトライアングルは、いずれも活動量の多い選手ばかりが揃った。7か月前に対戦した際、O・アブドゥルラフマンに同サイドを自由に使われたが、この日はまったくもってスペースを与えなかった。UAEにとっては本当に厄介なトリオに映っていたに違いない。
 
 この日の今野が素晴らしかったのは、期待されていたと思われる守備面での貢献に加えて、攻撃面でも大迫や久保と同じくらいの存在感を発揮していたことだ。久保のクロスから1ゴールを奪うなど、ゴール前への鋭い飛び出しを再三見せていた。2年ぶりの招集とは思えない安定したパフォーマンスは、さすが“ベテラン”と呼ぶに相応しい。Jリーグでの勢いをそのまま代表チームに持ち込んでくれた。長谷部不在のチームを大きく後押ししていた。この日のMVPを選ぶとしたら、間違いなく今野だろう。
 今野の活躍を見ても分かるように、この日のチームを支えていたのは、ベテラン勢の存在だ。経験値がモノを言う最終予選で、GK川島のスタメン起用を含めて、ベテラン選手を中心としたメンバー構成によって、アウェーで勝点3を手にしたハリルホジッチ監督の手腕は、極めて冷静な判断だったと言える。ベテラン勢がチームを支え、1得点・1アシストと気を吐いた久保のような若手がのびのびとプレーする。そうした理想的なチームバランスが生まれているように見える。
 
 グループBは首位のサウジ、2位の日本、3位のオーストラリアと続く。いまだ勝点3差内に3チームがひしめく団子状態にある。
 
 ホームで敗れて出遅れた前半戦の初戦と比べたら、因縁の相手を叩いて好スタートを切った後半戦の初戦はパーフェクトの結果と言える。ロシア・ワールドカップへ向けてきわめて“視界良好”だ。
 
 とはいえ、何度も口を酸っぱくして言い続けているけれど、日本が目指しているところは“ロシア行き”ではなく、“ロシアで勝つ”ことだから。このまま波に乗ってさらりとトップ通過してくれるよう、応援している。
 
■プロフィール
藤田俊哉(ふじた・としや)/1971年10月4日生まれ、静岡県出身。清水市商高-筑波大-磐田-ユトレヒト(オランダ)-磐田-名古屋-熊本-千葉。日本代表24試合・3得点。J1通算419試合・100得点。J2通算79試合・6得点。J1では、ミッドフィルダーとして初めて通算100ゴールを叩き出した名アタッカー。2014年からVVVフェンロのコーチとして指導にあたっている。