UAE戦では右インサイドハーフに入った香川。いつもと比べてバランス重視のプレーが多かった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[ワールドカップアジア最終予選6節]日本 2-0 UAE/3月23日/アルアイン
 
 キャプテンの長谷部誠を怪我で欠いたUAE戦で、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は中盤に思い切ったテコ入れを施した。
 
 MFが3枚という人数こそ同じだが、並びを従来の2ボランチ+1トップ下の三角形型ではなく、1アンカー+2インサイドハーフの逆三角形にしたのだ。中央低めの位置に山口蛍、左寄りに今野泰幸、そして右寄りに香川真司というトライアングルだった。
 
 本来の攻撃に比重を置けるトップ下ではなく、攻守両面での貢献が求められるインサイドハーフに入った香川は、やはりまずは守備やバランスを優先していたという。
 
「(まず意識したのは)やっぱり中盤のディフェンス。相手をしっかり捕まえること。とくにオマルをしっかり警戒しろと言われていたので。とはいえ、あまり下がりすぎず、自分たちが主導権を握って、なるべく前からプレスをかけていこうと中盤で話しました。守備に関してはみんな規律通りできた。コンちゃん(今野)が潰してくれるのは大きかったですし、相手にそこまでビッグチャンスを作らせなかった」
 
 まずは守備を安定させて試合を落ち着かせ、縦に速いカウンターでゴールを狙う――。ハリルホジッチ政権下の大きなコンセプトのひとつである逆襲速攻は、この日も機能した。13分の久保裕也の先制点、そして51分の今野の追加点はいずれもカウンターからで、香川も「狙い通りだった」と振り返る。
 
「攻撃になったときは、カウンターかポゼッションでどこまで崩せるかなと思っていたんですが、ポゼッションはなかなかできなかった。でも、カウンターで取れた2点は狙い通りです」
 
 勝点3が求められた試合で、ほぼプラン通りに攻守が機能して危なげなく2-0の完勝。この結果には背番号10も満足感を示した。
 
「大事な試合で、勝利以外考えられなかったし、みんながハードワークした結果だと思う。本当にチームで粘り強く戦えたなかで先制点を奪えて、効率の良い戦いができた」
 とはいえ、香川自身が自身の持ち味を存分に発揮できた試合とは言えなかった。普段よりプレーエリアが下がり目だったため、ペナルティーエリア付近の狭いスペースでの局面打開という最大の武器を披露する場面が、ほとんど皆無だったのだ。
 
 しかし、本人はこの点について「最低限の仕事。今のサッカーはそういうサッカーなので、ハードワークできないとたぶん試合には出られない。それくらい割り切ってやるしかない」とコメント。71分に自身と交代で出場した倉田秋、清武弘嗣とのポジション争いを制するのは、まずは与えられた役割をこなすことが重要だと強調した。
 
 ドルトムントではトップ下、またはインサイドハーフでももっと攻撃的な役割を担うケースが多いため、この日のタスクが決して慣れているわけではない。とはいえ、そこに関する迷いもないと言い切った。
 
「(スタイルや役割は)はっきりクラブとは違うので、そこまで考えてないです。代表には代表のスタイルがあるし、それは監督が決めること。僕らはまずはそれを徹底しないといけないし、監督のサッカーを信じてやるのが僕らの生きる道だと思うし、そういうサッカーは僕たちに必要なこと。自分自身、良い経験としてプレーできている」
 
 もちろん、この日のタスクやパフォーマンスに完全に満足しているわけではない。本来的には、スモールスペースにおける連携や独力での仕掛けが持ち味の選手なだけに、良い位置でボールを持てれば常に違いを作り出したいとは思っている。
 
「(ボールを持てば輝きを放ちたいとは)常に思っている。ただ、それをどう表現するのか。チームのベースがあるので、そのなかで自分らしいプレーをいかにもたらしていけるか。自分自身を表現するには、もっともっとやらないといけない」
 
 チームのスタイルと指揮官に与えられた役割にアジャストしながら、自身の持ち味をいかに出していけるか――。日本代表の背番号10は新たなチャレンジに挑んでいる。
 
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