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イェール大学の研究チームは、リチウム硫黄電池の性能を向上させる電極コーティング材料を開発したと発表した。デンドリマー(樹状高分子)と酸化グラフェンからなる複合薄膜であり、硫黄正極に適用することで電池の寿命を延ばし、効率を向上させる効果があるという。研究論文は、「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。

硫黄は軽量であり、地球上に豊富に存在する元素であるため安価に入手できる上、従来のリチウムイオン電池よりも高い正極容量(理論値1675mAh/g)が実現できる。このため電池正極に硫黄を用いるリチウム硫黄電池は、高エネルギー密度の次世代二次電池として研究開発が進められている。

ただし、これまでのリチウム硫黄電池では、充放電サイクルを繰り返すうちに容量が減っていくことが問題になっていた。放電反応の中間生成物であるリチウム多硫化物が電解液に溶け出し、充放電サイクルを繰り返すうちに電極間で酸化還元反応を引き起こすことなどが劣化の原因であると考えられている。

今回開発されたデンドリマー-酸化グラフェン複合薄膜は、中間生成物のリチウム多硫化物をデンドリマー分子の内部に化学的・物理的に閉じ込める仕組みとした。さらに酸化グラフェンを加えることで機械的な強度をもたせ、電極表面に薄く塗り伸ばせるようにした。この2つの材料を複合させて作ったゲル状のスラリーは、硫黄正極の表面上に厚さ100nm程度の薄膜として塗布することができる。

薄膜コーティングした硫黄正極は、1000回以上の充放電サイクルで安定した動作が可能であると報告されている。非常に薄く軽い膜であるため、電池全体のサイズや重量に影響がなく、電池のエネルギー密度および出力密度を損なわずに機能させることができるという。

(荒井聡)