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●どんな野球ゲームか
ゲーム制作でリアルさへの追求が増やすものは何か。売上やユーザー数であってほしいところだが、確実に言えるのは仕事である。細部にこだわれば手間が増えるからだ。それでもリアルさを追求したのが、コロプラが今春リリース予定のスマホアプリ「プロ野球バーサス」だ。

○実名の選手と細部にこだわった球場

「プロ野球バーサス」は、その名のとおりプロ野球を題材にしたゲームアプリ。プレイヤーは好きな球団を選択して、全国のプレイヤーとオンラインで対戦できる。一人でも楽しめるシングルモードも用意されるとのこと。試合ではバッティングやピッチング操作を行うパートがあり、プレイヤーの腕が勝敗の決め手となるアクション要素も備えている。このほか、選手の育成といったやり込み要素も備えているのがこのアプリだ。

注目したいのは、登場する12球団、選手がすべて実名であり、球場にいたっては細部まで忠実に再現されていることだ。選手の肖像等に関しては一般社団法人 日本野球機構から、球場についてはプロ野球フランチャイズ球場からの承認を受け、選手データはデータスタジアムから提供を受けてそれぞれを利用している。

選手データは2017年の今シーズンのもので、各球団に所属しているルーキーを含む。選手の顔は、完全再現とまではいかないが、選手着用のユニフォームなどは忠実になっているようだ。たとえば、読売ジャイアンツのキャップ。昨年まではオレンジだった箇所が今年はブラックに変更されているといった細かい部分までチェックしているという。

さらに、球場内の場内広告はそのまま掲出。東京ドームを例に挙げると、実際に場内に存在する「BANDAI NAMCO」の看板まで再現。バンダイナムコは競合他社だが、そのまま出してしまう割り切りのよさもある。しかし、これはプレイヤーには無関係のことであり、あくまでも優先したのはリアルさなのだ。

ここまでリアルを追い求めると、増えるのは仕事。少なくとも、承認を受けるまでのやりとりでプロセスは増えていくし、それについて同社は「かなり大変」であると認める。こだわりに応じて人件費やその他のコストも増えるだろう。

●リアルを追求するわけは?
悲しいのは、これらの細部へのこだわりがリターンに直結するとは限らないことである。それにもかかわらずリアルを追求していくのはなぜなのか。サービス統括本部長を務める石渡亮介取締役は「プロ野球の世界観に入り込んでもらうため」と一言。さらに、パブリシティ担当の金坂浩興氏は「スマホアプリだからといって、ビット表現のキャラクターが画面を動いて2017年度版のプロ野球ですと言われても……(笑)」と納得の答えだ。

聞き逃せなかったのは金坂氏の"年度版"という言葉だ。今作は年度ごとに球団データなどにアップデートをかけ、長年プレイしてもらえるように考えているという。息の長いゲームアプリに仕立てたいからこそ、今回のようにリアルを追求して作り込んだのだろう。

しかしながら、作り込みにかけたコストに対してのリターンはどうか。アプリはアイテム課金制を採用。それで収支は合うのか、というのが率直な感想だ。石渡氏は「新しいチャレンジということで、従来のガチャではない新しいマネタイズ方法を考えている」とし、その方法も注目されそうだ。果たして「プロ野球バーサス」制作陣の努力は報われるのだろうか。

(大澤昌弘)