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韓国・蔚山科学技術大学校(UNIST)と中国・北京大学の研究チームは、カーボンナノチューブ(CNT)が成長するときの筒の巻き方を制御する手法を開発したと発表した。これによって半導体型CNTと金属型CNTの作り分けが、従来よりも高い精度でできるようになったという。トランジスタなどのデバイスにCNTを応用していく上で、半導体型/金属型CNTの選択的成長は非常に重要な技術課題である。研究論文は、科学誌「Nature」に掲載された。

二次元の炭素材料であるグラフェンを細い短冊状に切り取って、筒状にまるめたものがCNTであるとみなすことができる。グラフェンを切り取るとき、ハチの巣状の結晶構造に対してどの方向に切るかによって、CNTの筒状構造における炭素の結晶の巻き方が変わる。この巻き方の違いは「カイラリティ」と呼ばれる。

カイラリティはCNTの電子特性に直接影響する。カイラリティの違いによって、CNTが半導体的になったり、金属的になったりする。通常、化学的気相成長法(CVD)などによって基板上にCNTを結晶成長させると、カイラリティの異なるCNTがランダムに生成され、半導体型と金属型が入り混じった状態になる。

トランジスタなどの電子デバイスにCNTを応用する場合には、半導体型と金属型が混在したままでは使えないので、どちらか一方を選択的に得る技術が必要になる。いったんCNTを生成した後で、半導体型と金属型を分離する方法もあるが、デバイスの製造プロセスに組み込むことを考えると、結晶成長の段階ではじめから選択的に作り分けできることが望ましい。

研究チームは2014年に、タングテン-コバルト合金触媒などを用いて単層CNTのカイラリティを制御し、半導体型CNTと金属型CNTを作り分けることができたと報告していた。今回の研究では、この技術をさらに改良し、80〜90%の純度で半導体型CNTを選択的に成長できるようになったという。これまで実験的に得られた中では、最も高い選択度であるとしている。

結晶成長時に炭化タングステンを触媒に用いると半導体型CNTが多くなり、炭化モリブデンを触媒に用いると金属型CNTが多くなるという。基板上の触媒の構造対称性および粒径と、CNTが成長するときの核形成に対応関係があるため、触媒によってカイラリティ制御が可能であると考えられている。

研究チームのFeng Ding教授は「理論計算によれば99.9%以上の選択性が実現できることが実証されており、まだまだ技術向上の余地がある」とコメントしている。今後は、半導体型CNTの選択性をさらに高めるとともに、金属型などすべての型のCNT形成を制御できるようにすることを目指すという。

(荒井聡)