「世界一の金山」菱刈鉱山にJOGMECが7億3000万円を貸付

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 かつて「黄金の国ジパング」と呼ばれた日本。ほとんどの金鉱山は枯れてしまったが、今なお商業規模で採掘の続く有力な金鉱山が、鹿児島県にあることをご存知だろうか。菱刈鉱山である。産出する金鉱石の品質が高く、一説に世界一であるとも言われるこの鉱山の有望さを認め、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、7億3,000万円の貸付を行うことを決定した。

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 同鉱山で採掘を行っている事業者は住友金属鉱山であり、貸付は同社に対して行われる。償還期間は7年以内、うち据置期間は2年。契約締結日は2017年3月21日である。

 この貸付は、住友金属鉱山からの申請に対し、JOGMECが菱刈鉱山について審査を行ったところ、「金属鉱物の安定的かつ低廉な供給に資する」と認められたことから行われた。

 さて、少々昔話をしよう。かつて日本で最大の威容を誇った金鉱山といえば、佐渡金山である。現在の地図で言えば新潟県佐渡市、言わずと知れた佐渡島の金鉱だ。

 だが、この鉱山、江戸期には一時、大きく採掘量を減らしてしまった。「天が下 二つの宝つきはてぬ 佐渡の金山 水戸の黄門」という狂歌がある。こんにち時代劇で有名な水戸光圀(黄門)が死去したとき、世の人が彼を惜しむと共に、ちょうど佐渡金山の枯渇という社会問題があったので、それを詠みこんだものである。

 実は佐渡金山については、近代(明治から昭和の時代)に技術的革新を背景に有望な金鉱として蘇ったという話もあるのだが、その詳細については他に譲ろう。いずれにせよ、1989年には完全に採掘を終え、閉山している。

 一方、菱刈鉱山はというと、これは何と1981年に発見され、1985年から採鉱が始まったという新しい金山だ。操業している金鉱山が今国内に他に一つもないというわけではないのだが、事実上、日本の現在の金産出量のほとんどは、この菱刈からのものである。

 それもそのはず、菱刈の金産出量は年間6〜7トンに上り、その総産金量は、記録上では過去に日本一だった佐渡金山の約80トンを越え、既に220トン超に達しているという。

 ちなみに、菱刈鉱山の存在は、単に「金が出るから売れば儲かる」というだけの話ではなく、「鉱山操業技術の維持運用と継承」の面からも重要であると言われている。残存埋蔵量だが、少なくともあと20年は大丈夫だそうだ。これからも、日本の伝統ある鉱山技術を守り続けていただきたいものである。