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自分の国はもちろん、海外約50カ国でも自分のスマートフォンが基本料金のまま使える、そんな夢のようなプランを香港のキャリアが開始した。海外旅行や出張の多いユーザーにとって必須のサービスになりそうだ。

海外旅行の悩みの種の一つが海外でのスマートフォンの利用だろう。一昔であれば海外では通話が出来れば十分だったため、海外用携帯電話をレンタルして現地で使う人も多かった。しかし今やスマートフォン無しではコミュニケーションの取れない時代だ。SNSを使い24時間家族や友人、そして仕事でも連絡を取り合う今、自分のスマートフォンを海外で使うことは必須条件になっている。

最近では大手キャリアの海外データ定額ローミングサービスの値段も下がり、1日1000円程度で使えるキャンペーンも行われている。また海外用モバイルルーターのレンタルサービスも種類が増え、MVNOキャリアなど海外ローミングのできないサービスを利用している人でも海外で自分のスマートフォンを使うことが可能になっている。さらには日本でも買える海外用のプリペイドSIMの種類も増えている。

とはいえこれらのサービスは毎月の基本料金に加え、別途料金の支払いが必要だ。auの「世界データ定額」のように、国内で利用している無料データ分が海外でそのまま利用できるサービスもあるが、1日別途980円がかかってしまう。

「自分のスマートフォンを海外でもそのまま料金をきにせず使うことができる」。2017年2月からそんな料金プランを香港のMVNOキャリアが開始した。香港のChina Unicom Hong Kong(チャイナユニコム香港、中国聯通香港)が開始した「One Plan」は、基本料金を払うだけで香港のみならず、アジアやヨーロッパでもそのまま通話やデータ通信が可能な料金プランだ。海外へ到着したらスマートフォンの電源を入れるだけで、別途ローミング料金は必要とせずにそのまま自分の スマートフォンを使うことができる。

サービス対象料金は「アジア・ヨーロッパ」「アジア特定国」「スイス」の3グループに分かれている。基本料金に含まれているのは、香港と中国の無料通話分、アジア特定国の無料通話分、そして香港を含むアジア・ヨーロッパの無料データ分だ。

たとえば最低プランの268香港ドル(約3,840円、24か月契約)に加入すると、

・香港中国通話500分
・アジア特定国通話20分
・データ通信1GB(香港、アジア・ヨーロッパ)

が含まれる。アジアは香港、中国、マカオ、台湾、タイ、マレーシア、韓国、日本、シンガポール、オーストラリア。このうち特定国は台湾、タイ、マレーシア、となる。ヨーロッパはドイツ、フランス、イタリア、スペイン、イギリス、ハンガリーなど36の国と地域。一般的に観光やビジネスで訪れる国はたいていカバーされていると言えるだろう。このプランに加入すれば、急に明日から出張が決まったり、ヨーロッパ各国を周遊するときもローミング料金やルーターレンタルを考える必要は一切ないのである。

1GBのプランで無料データ分を使い切った場合は、88香港ドル(約1,260円)で1GBを追加できる。またスイスは別料金で、1日あたり68香港ドル(約980円)で定額利用が可能だ。

このプランがうまくできているのは、香港に隣接する中国は香港と無料通話分が共有でき、さらに香港人がよく渡航する3カ国の無料通話も20分含んでいる。またスイスは別料金だが、今後新しいサービス対象国を増やすときに、アジア・ヨーロッパに内包できなくとも、同様に1日68香港ドル定額で提供することもできる。将来のサービスの拡張性が考えられているのだ。

都市国家である香港は、隣町が外国という状況でもある。特に中国へはビジネスだけではなく越境通学や週末の買物など、毎日、毎週のように国境を越える人の往来が激しい。そのため香港の各キャリアは香港と中国の無料通話・無料データ共用サービスを数年前から開始している。ここ最近では台湾やマカオ、シンガポールなどアジア周辺国もそのまま使えるプランも増えている。

すでに香港内では音声定額も当たり前、データ通信料金も限界まで引き下がっている中、各キャリアはユーザーの引き留めに必死だ。だが料金面での競争はもはや限界に達している。チャイナユニコム香港は香港の消費者が求めている「海外利用」に目をつけ、他国でもなかなか例のない世界約50カ国共通プランを提供しユーザー獲得を狙っているのである。

ちなみに日本人でもデポジットを払えば契約ができるため、海外渡航の多い日本人でもこのプランを使うことは可能だ。日本のキャリアと契約せずにチャイナユニコム香港の契約で日本や海外を使う、なんてこともできないこともない。

日本のMVNOキャリアも料金競争は限界に近付いている。日本の海外渡航先として人気の台湾や韓国、ビジネス需要の高い中国のキャリアと提携して、海外ローミング込みのプランを出すことも差別化につながるかもしれない。ぜひ日本でもこのようなプランの登場を望みたいものだ。

(山根康宏)