先制点を決めた久保裕也【写真:田中伸弥】

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英国人が見たUAE戦

 日本代表は現地時間23日、ロシアワールドカップアジア最終予選でUAE代表と対戦してアウェイで2-0の勝利を収めた。この試合中、イングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。

「川島の先発はハリルの大きな判断」「注目は原口」

――日本にとってこの試合はワールドカップ出場を左右する一戦です。今日の試合の注目ポイントはどこでしょうか?
「キーパーでしょう! 今季の川島はメスで1試合しか出ていない。もちろん経験はあるけど、これはハリルの大きな判断だと思う。でも、最近の西川はいつもより不安定だね。林はJリーグで良いスタートをしたけど、この試合で代表デビューは難しいと思う」

――試合で使用されるスタジアムは規定よりも狭いという噂もあります。普段使用しているラインを消した跡も見られました…。
「(横幅が)4メートルも狭いみたい。日本の選手は全然気にしないと思うけど、UAEは戦術的に使うかもね。日本は攻撃の特に長友と宏樹をよく使うけど、ボールをあまり広げないようにプレーすることになるかもしれない」

――ショーンさんは以前、「長谷部がどれだけ大事な選手かは彼がいなくなった時にしかわからない」と言っていましたが、今日はまさにそうなりますね。
「以前はそうだったけど、今ちゃん(=今野)は信頼できるね。将来的にレギュラーになれるかわからないけど、この1〜2試合で期待出来ると思う」

――ショーンさんがこの試合で注目する選手は?
「原口だね。去年の終盤は非常に調子が良かった。今日はその時だけじゃないということを証明しなければならない」

――今日のDFラインのうち3人が累積警告でリーチですね
「今日イエローカードをもらえば次の試合で出場停止になる。次のタイ戦で出場停止になる方が、その次のオーストラリア戦を逃すよりも問題ないかな…」

「先制点は久保にとって簡単すぎる」「川島は1ゴールを救った」


――日本の立ち上がりはどうでしょうか?
「今ちゃんがオマルをマンマークしているみたい」

――相手のキーマンを抑えるという意味でも、今野の役割は重要になりそうです
「それは間違いない。日本は攻撃で多くのチャンスを作れると思うけど、守備も重要。もしオマルが試合流れをコントロール出来るようになれば、危なくなる」

――酒井宏樹のパスを受けた久保裕也が冷静に流し込み、日本が先制点を奪いました!
「彼にとっては簡単すぎるね。久保の動きは非常に良かったけど、UAEのDFとGKは良くなかった。GKがニアを破られて失点するのは許せない」

――久保は1月に移籍したベルギーのヘントで7試合5得点と好調を維持していますが、その勢いを代表にももたらしてくれましたね。
「その自信は残ってるね。日本のファーストチャンスだということは考えずにそのまま打った。それは一番良いプレースタイル。これからもっと自信が出てくると思う」

――前半20分、川島がビッグセーブ!
「とても良いセーブ。1ゴールを救った。本当に大事なこと。キックの精度も良いね」

――前半30分を経過して、ここまでの印象はどうでしょうか?
「立ち上がりは本当に良かった。日本はホームチームみたい。最初のホイッスルから主導権を握っていた。攻撃のリズムが良いし、守備でもちゃんと集中してる。1つだけチャンスを与えたけど、川島が良い仕事した」

――吉田麻也はサウサンプトンでスタメンに定着していますね。ショーンさんは吉田をどう評価しますか?
「僕は個人的に好き。ゲームをよく読むしDFラインをよくコントロールする。まだ日本の一番良いセンターバックじゃないかな。森重のミスを麻也が読んでカバーしていたけど、それは簡単なことじゃない」

「前半のMVPは川島」「香川はまだ印象に残るプレーは見せていない」


――前半の終盤、日本は少し押し込まれていますね。
「90分間ずっと試合をコントロールすることは出来ない。このレベルでも、それは仕方がない」

――前半は日本のリードで終わりました。前半戦の印象はどうでしたか?
「最初の30分は完璧だったけど、最後の15分はちょっと押し込まれたね。それは予想通りだと思ったけど、後半に少し気をつけないといけない」

――ショーンさんが選ぶ前半戦のMVPは誰ですか?
「川島かな。そんなに忙しくなかったけど、仕事があった時にはちゃんと対応できていた」

――後半に期待したい選手は?
「香川。UAEのゲームメーカーのオマルはチャンスを作っているけど、香川はまだ印象に残るプレーは見せていない」

――日本は後半開始と早々に追加点! 久保のクロスを今野が押し込みました。
「今ちゃん! 言った通りね。信頼出来る!」

――得点力という点では長谷部との違いを生み出せる選手ですね。
「そうだね。本当に冷静に決めた」

――それにしても今日の今野は攻守での存在感が凄いですね。
「ダレン・フレッチャーみたいじゃない? 誰にとっても一番好きな選手じゃなくても、毎試合100%出して、常にチームに貢献してる。そのような選手はチームメイトも大好きだと思う」

「香川は何と言えばいいか分からない」「本田投入は良いオプション」

――UAEは9番のハイカルが原口への激しいタックルでイエローカードです。
「完璧なラグビータックルね。2019年の日本W杯に出るかな?(笑)」

――その直後にもハイカルは今野にハイキックをお見舞いしています…。
「最初はサッカー、その次はラグビー、そしてMMA(プロレス)。その次は何だろうね(笑)」

――香川は71分で倉田と交代になりました。
「香川、ね…。何と言えば良いか分かりません。今日も印象は無かった」

――倉田についてはどういう印象ですか?
「正直に言えば、今回の招集はびっくりした。Jリーグでは良い選手だけど、僕は彼が代表の可能性があるとは思わなかった。そしてもう28歳だから、“これから選手”じゃないね」

――先制点の久保に代わって本田が投入されました。
「最後の15分でボールをキープ、そして上手く時間を使う必要があるからね」

――本田がスタメンではないことはどう思いますか?
「当然じゃない? 今年に入って1分しかプレーしてないから。でも、それにもかかわらずこの時間帯では良いオプションだと思う」

「タイ戦でも勝てばロシア行きは25%決まり」

――終盤のプレーはどうでしょう? 試合をクローズする展開になってます。
「2点目が入ってから、もう終わったみたい。UAEはその瞬間にギブアップしていた。今日の日本は非常に良かった。このゲームで引き分けは十分と思ったけど、勝ち点3を取ったのは非常に大きいと思う」
――試合終了! 内容も結果も良い試合でしたね
「まだ課題があるけど、満足できる」

――この試合のMVPは誰でしょうか?
「やっぱり今ちゃんね。守備は完璧だったし、大事な2点目のゴールも決まった。2年ぶりの代表だったけど、そう見えなかったね。本当にプロフェッショナルで、信頼できる選手。ハリルも良い仕事したね。今ちゃんを選んでくれたから」

――課題はどのあたりにあるでしょうか?
「今日は何回もカウンターでUAEにチャンスを与えていたので、より良いチームになるためにはそれ改善しないと」

――今日の試合である程度この先の主力を固定できたでしょうか?
「そうだね。もし火曜日の試合も勝てば、ロシア行きは25%決まりみたいなもの。でも、タイ戦も勝たなきゃ。最後の3試合は難しそう」

――タイ戦で期待することは?
「スムーズに勝つこと。期待する選手は“10番”。ポジションのこと(トップ下)ね。香川は次もスタメンかどうかはわからないけど、“10番”に立った選手はチームの攻撃を牽引しないといけない。でも、今はそれは難しい。香川、清武、本田…。誰も調子がよくないね」

▽語り手:ショーン・キャロル
1985年イングランド生まれ。2009年に来日。「デイリーヨミウリ」「Jリーグ公式ウェブサイト」などにも寄稿。高校サッカー、Jリーグ、日本代表など幅広く取材している。過去にはスカパーのJリーグ番組出演も。

text by 編集部