“80歳女子”の雑誌『BB(ババ)』を考えてみた【辛酸なめ子】

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(寄稿:漫画家・コラムニスト 辛酸なめ子) 

『LEON』の創刊編集長である岸田一郎氏がシニア富裕層向けの新雑誌『GG(ジジ)』を創刊(6月24日発売予定)。表紙の、「素敵にジジってますか?」という意味不明ながらもキャッチーなパワーワードに痺れます。

 そして表紙のイメージを見たら、70がらみの白髪の男性が、自転車に乗りながら、30代美女のオープンカーに寄り添っていました。寄りかかる、というより、力尽きて倒れこんでいるのを必死に取り繕っているようにも見えてきます。おじいちゃん、車道を自転車でフラフラ走って危ない! と思ってしまいますが、それでもモテ男のプライドを保とうとする姿が涙ぐましいです。

 男のロマンとプライドがうずまく『GG(ジジ)』。それに対抗してもし女性版の『BB(ババ)』があるとしたら……?

◆『BB』が提案する、80代女子の最強ライフ

 まず、「80代女子の最強ライフ」というキャッチコピーを銘打ちました。バブル世代が強引に「40代女子」の道を切り開いてくれましたが、今後「女子」の年齢層が広がることを想定しています。

 そして、女性は男性よりも現実的なので「イケメンドクターのいる病院ランキング」といった、趣味と実益を兼ねた特集を立てることで訴求力を高めます。「もう、転ばない ヨガで骨密度アップ!」も同様ですが、このところファッションとして定着したヨガはおしゃれなイメージもあり、エクササイズよりもユルくできるので、シニア世代向けです。若い女子とおばあさん世代がヨガスタジオで交流したら、素敵な社交が生まれそうな予感。

 また、このところ女性誌では「こなれファッション」祭りですが、「お葬式ファッションのこなれテク」特集では、シニア世代にとってフォーマルな場であるお葬式で、おしゃれ上級者となるテクニックを展開。葬式出席回数が多いほどこなれていく、というシリアスな現実もありますが……。

 表紙のロケ地は最近サードウェーブコーヒーで注目が高まっている清澄白河。こちらの街は行ってみたらお寺とお墓だらけで、コーヒーショップとお墓という組み合わせが非現実感があり、新鮮でした。BB世代というとすぐ巣鴨を連想してしまいますが、他にも魅力的な寺町はあるので、そちらを今後表紙ロケに使っていきたいです。

 など、具体的に『BB』の企画を考えてみましたが、いつまでも若くありたいというアンチエイジング志向を持つ女性が、自らBBという雑誌を手に取って買ってくれるのか……それが大きな課題でもあります。

【辛酸なめ子 プロフィール】
東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著者は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。