【産業医に相談】上司から評価されません。わたしの何がいけないの?

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今回の質問の議論すべき課題の中心は、上司からの評価自体を変えることよりも、上司の評価基準に関して、双方に認識の差が出ていることが問題であると思います。

その点について、まずは上司と建設的な話し合いの場をもつことが重要です。コミュニケーションは言葉のキャッチボールと表現されることがありますが、時にドッジボールやデッドボールのような交戦的な対話になりがちなのも事実です。

今回は産業医である筆者が、そのような話し合いにおいて課題解決への建設的な対話を行うためのコツをいくつかご紹介します。

1:憎いあいつと可哀想なわたし

アドラーの心理学においては、多くの悩み相談は2つの要素に集約できると言われています。第一の要素は“可哀想なわたし”、すなわち自分が上司に理解されず不当に扱われているという自己に対する悲観的な主張に関する内容です。

第二の要素は“憎いあいつ”、すなわち上司の無理解のために自分は正当に評価されていないという他者に対する非難の主張に関する内容です。

 多くの悩みや課題はこの2つの要素に集約されると言われ、この二点についていくら議論しても建設的な解答にはたどり着けません。まずは自分の訴えの多くがこの2つの要素に集約されていることを知ることがとても大切です。

2:共通のゴールに向けた、具体的な議論を

大切なのは2つの要素に対して、どのような行動をとることで解決に向けて進めるかを議論することです。発生している課題を改善したいという共通のゴールに向けて、課題に対して両者が心理的にも横並びで、どうアクションするかを具体的に議論することが重要です。

問題は課題の解決であって、向き合っている相手を説き伏せることや謝らせることではありませんので、正面から向き合って感情をぶつける行為はいかなる場合でも避けることが、対人関係における得策と言えます。

3:極限状態の職場に学ぶ

私がよく勧める書籍に、『宇宙飛行士に学ぶ心の鍛え方』という書籍があります。逃げ場のない宇宙空間での各国のスペシャリストが悩むのは、やはり対話の問題なのです。職場もある意味逃げ場のない宇宙空間、世界のスペシャリストに対話法を学んでみるのもいいかも知れませんよ。

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※ nenetus / Shutterstock

【筆者略歴】

三宅 琢

医学博士/日本医師会認定産業医、メンタルヘルス法務主任者、日本眼科学会専門医、労働衛生コンサルタント東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野 特任研究員株式会社ファーストリティリング他 産業医株式会社Studio Gift Hands 代表取締役