今季初優勝した菊地絵理香【写真:Getty Images】

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菊地絵理香の3勝目に韓国人メディアが反応 その理由とは

 先週開催された女子ゴルフツアー3戦目のTポイント・レディスで、菊地絵理香が今季初優勝、通算3勝目を飾った。

 この試合の勝利に反応を示したのが、韓国メディアだ。その理由は、昨年10月の「NOBUTA GROUPマスターズGC」レディスから8週連続で続いていた外国人選手の優勝が、ようやくストップしたからだ。

 韓国メディアを見ると、こんな見出しが目につく。

「日本ツアー9試合ぶりに優勝杯“奪還” 日本の歓呼」(スポーツ紙『スポーツ京郷』)

「久しぶりに日本の選手が優勝。菊地絵理香が勝つ」(ニュース総合サイト『ブレイクニュース』)

「奪還」や「久しぶり」といった言葉からは、韓国側の対立構造をあおるスタンスを感じなくもないが、実はそうした言葉の裏には日本のツアーで外国勢ばかりが勝つ流れを、彼ら自身がそこまでよく思っていないという本音も隠されている。Tポイント・レディスの取材に来ていた韓国人記者は、現在の日韓関係悪化による選手への影響を連想して、「こんなに日本人選手が勝てないと、韓国人選手の立場が悪くなるのでは」と懸念していた。

 もちろん、選手は皆プロとしてツアーに参戦し、勝つために全力でプレーしているが、韓国人選手関係者の間からも、他の外国人選手が優勝するくらいなら「菊地選手が勝って良かった」と、安堵した声が聞こえてきたほどだ。

韓国人記者が指摘する「米女子ツアー人気低迷の要因」

 前出の韓国人記者はこう話す。

「仮に韓国女子ツアーに日本人選手がたくさんプレーしていて、日本人選手ばかりが勝つような状況が続けば、韓国のゴルフファンやメディアはもちろん良くは思わないでしょう。実際、米女子ツアーでは韓国人選手が勝つ状況が続いているので、それが人気低迷の要因になっていると聞きます。どの国のツアーも自国選手の活躍を願うもの。純粋なスポーツとして見る分には、いろんな選手が活躍することが望ましいと思いますが……」

 日本で開催されるツアーなのだから、ギャラリーやゴルフファンが日本人選手の活躍を期待するのは当然のことだ。ただ、外国勢ばかりが勝つとどうしても“日本勢対外国勢”という構図を作ってしまう。しかも、日本の女子ツアーには多くの韓国人選手がプレーしており、イ・ボミ、申ジエ、キム・ハヌル、アン・ソンジュ、全美貞、李知姫といった賞金ランキング上位選手がひしめいている。外国勢というよりかは“日韓対決”と括りたくなる気持ちも分からなくもない。

 米ツアーでプレーする現在世界ランキング3位のチョン・インジがこんな話をしていた。

「私は子どものころから、ゴルフは相手との勝負ではないと学びました。ゴルフは互いに違う目標を持って戦う同伴者です」

対決構造をあおられるのは選手は本意ではない?

 確かにこの言葉は間違ってはいない。あくまでもゴルフはスコアで競うスポーツだということだ。勝負の世界だから負けたくないという気持ちは大事。しかし、むやみやたらに対決構造をあおられるのは、選手の立場からすれば本意ではないだろう。

 菊地は優勝会見で「私はまだまだ挑戦する身。イ・ボミ選手、アン・ソンジュ選手や申ジエさんには足元にも及びません。その方たちと対等に戦うには、もっとレベルアップしないといけない」と話していた。

 イ・ボミとアン・ソンジュは日本で賞金女王になり、申ジエは米ツアーの賞金女王を獲ったことのある選手だ。常に優勝争いしてくる選手たちと試合することで、多くのことを学び、自身のレベルが向上することを菊地は知っている。

“日韓対決”をあおるよりも、“技術を磨いて試合に勝つ”――というアスリートとしての側面がもっと語られてもいいのかもしれない。

金 明碰●文 text by Myung-wook Kim