都内で発表された「アクオド バイ チャヌ」17/18年秋冬コレクション(2017年3月21日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】迫り来る英国の欧州連合(EU)離脱は、最も意外なところに文化的なインスピレーションをもたらしたのかもしれない。地球の反対側の東京で開催された韓国人デザイナーのファッションショーだ。

 ジェンダーの壁をなくすという使命を掲げるチャヌ(Chanu Lee)が手掛けるユニセックスブランド「アクオド バイ チャヌ(ACUOD by CHANU)」は22日、17/18年秋冬「アマゾン ファッション・ウィーク 東京(Amazon Fashion Week TOKYO)」で、ファスナーを主役にしたコレクションを披露した。

 それは間違いなく「ファスナーの祭典」だった。帽子や袖、ボトムのクロッチ部分から袖、背中、ジャケットのフロント部分までファスナーが多用されており、着る人は自分の好きなようにカスタマイズして着用できる。

 風邪予防あるいは吹き出物で「顔の調子が悪い日」のカバー用なのか、東京の街はマスクをした人であふれている。そんな中、チャヌはモデルたちの口を、大きなファスナーを施した黒い革のマスクで覆った。耳から重くぶら下がるような巨大マスクの口元のファスナーは開閉可能。顔を半分以上覆い隠されたモデルたちは、メタリックな歯を見せて、にやりと恐ろしい笑みを浮かべているようだった。

 ファスナーは「異なる文化をつなぎ、新しい世界を開くもの」と、日本でデザインを学んだチャヌは語った。

 彼は今回のショーのテーマを「壁を壊し、違いをファスナーで閉ざす」と銘打った。それは意外にもEU分裂の機運に対する訴えでもあった。ショーの数日前には英政府が、来週EUに対し離脱通告を行うと発表していた。

「政治的にEU離脱などといった色々な動きが世界で起きているが、私たちはみな同じ人間だ」と、チャヌはショーの後、流ちょうな日本語で記者たちに語った。「平和を表現したかったが、ただの『ラブ&ピース』はつまらないと思い、社会への反抗性のある平和を表現した」

 ビートボクサーのカイリ(KAIRI)とダンサーのゲンダイ(GENDAI)によるパフォーマンスで幕を開けたショーは、満席の観客から大きな喝采を浴びた。

 チャヌは昨年10月の「ファッション・ウィーク 東京」でランウエーデビューしたところだが、メンズとウィメンズウェアを融合し、スポーティーでセミフォーマルなストリート感のある「アクオド バイ チャヌ」はすでに多くの賞を受賞している。

「結婚式場にでもどこにでも着ていけるようなストリートブランドでありたい」と、チャヌはフォーマルなスーツとは距離を置くと明言。「僕自身、死ぬまで着る気はない」
【翻訳編集】AFPBB News