花粉症を抑える薬に…

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本格的な花粉症シーズンの到来が迫ってきた。近年ではドラッグストアで、花粉によるアレルギー性鼻炎対策用の市販薬が増えている。

花粉症薬の説明書を撮影し、ツイッター上に画像を公開した人がいる。服用時の注意として副作用の可能性が書かれており、発疹やめまい、頭痛といった症状が列記されていた。その中に投稿者が「二度見した」という説明書きがこれだ。「女性化乳房」「乳房が大きくなる」――。

0.1%未満の副作用でも記載する

ツイッターに投稿された説明書の画像が、具体的にどの市販薬かは分からない。それにしても花粉症の薬で乳房が大きくなる恐れがあるとは、何とも意外な印象だ。

花粉症の市販薬を調べると、エスエス製薬が販売する「アレジオン20」の添付文書に記載されている「使用上の注意」に同様の内容の「女性型乳房、乳房腫大」があった。J-CASTヘルスケアが同社の広報担当者に取材すると、薬を開発した日本ベーリンガーインゲルハイム社から、女性化乳房や乳房が大きくなる症状の発現頻度は「不明」との公式見解が出ていると説明した。「アレジオン」はもともと医療用医薬品で、一般医薬品に転用された。臨床試験の際に女性化乳房などの副作用は報告されておらず、発売後の「自発報告」として、飲んだ人のごく一部から「乳房が大きくなった」旨の話があった。

実は薬の添付文書には、発現頻度が0.1%未満の副作用でも記載しなければならない。ベーリンガーインゲルハイムが出している医療用アレジオンの添付文書を見ると、「乳房が大きくなる」という症状は、数値で表せないほど少ない「頻度不明」に分類されており、ほとんど起きていない。なおエスエス製薬には、これまで服用後に乳房が大きくなったという報告は入っていないという。

それでも、全般に副作用を感じた場合はすぐに服用を中止して医師や薬剤師、登録販売者に相談してほしい、また用法・用量を守って正しく使用してほしいと担当者は付け加えた。

「男性に乳房の発育を認める疾患」

そもそも、女性化乳房とはどのような症状か。公益財団法人難病情報センターのウェブサイトは、「男性に乳房の発育を認める疾患」で、加齢や肝疾患・甲状腺中毒症・薬剤服用などにより後天的に発生するものを「続発性女性化乳房症」と解説している。なお、「小児期より発症し先天性ないし遺伝性と考えられる遺伝性女性化乳房症」もある。花粉症の薬が関係するならば、前者だ。

耳鼻咽喉科の開業医に取材すると、女性化乳房は、肝臓の機能が低下して女性ホルモンの「エストロゲン」を分解しきれず過剰になり起きることが知られていると説明した。ホルモンのバランスが崩れてしまうのだ。では花粉症の薬が原因になるとしたら、どのようなケースが考えられるか。この医師が薬剤師に確認したところ、アレルギー症状を抑える「抗ヒスタミン薬」を挙げ、こう説明した。

抗ヒスタミン薬には、花粉症や鼻炎を抑えるために使われる「H1ブロッカー」と、胃腸薬に用いられる「H2ブロッカー」の2種類がある。それぞれ、ヒスタミンが「ヒスタミンH1受容体」「ヒスタミンH2受容体」にくっついて発症するのをブロックする役割だ。

薬剤師によると、まずH2ブロッカーには、「アンドロゲン」という男性ホルモンの受容体にくっついて男性ホルモンの作用を邪魔し得る。一方H1ブロッカーは、ヒスタミンH1受容体だけでなく、非常にまれにH2受容体もブロックしてしまう場合がある。そのため、H2ブロッカーのように男性ホルモンの作用を妨害する可能性もゼロではなく、結果的に女性化乳房につながるかもしれない。