「セクシー・ダイアモンド」と、トヨタらしからぬテーマを掲げたC-HR。誰もが目を見張った個性的なスタイルについてのデザイン・インタビュー。後編はボディサイドから話を聞きます。

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── ボディの側面から伺います。ドアパネルの多角形はダイアモンドを意図しましたが、そのためにかなり大胆にボディをエグりましたね

「ここはボディのコアとなるダイヤモンドと、張り出したホイールフレアを有機的な面でつなげている立体構成です。また、デザインコンセプトでは、大胆かつ抑揚の利いた骨格を表現したいと考えており、よりメリハリの強い造形が狙いです。後席や荷室の広さを狙わずに、ボディを絞り込んでスタンスの良さを表現する。そのために試行を繰り返し、この形状としています」

── ドアミラー下からフロントランプへつながるショルダーの「盛り上がり」の意図はどこにありますか?

「キャビンとボディが一体のダイヤモンドという立体構成ですが、サイドウィンドウをよりボディに埋め込む(下げる)ような処理で、キャビンとボディの一体感を強化しつつ、かつフェンダーに抑揚を与える造形としています」

── ピラー内ドアハンドルやフローティングルーフは流行りの表現ですが、今回あえて採り入れた理由はなんですか?

「当初のコンセプトから個性豊かでスペシャルな印象を与えることを狙いとしています。そのひとつとして普通にドアが5枚あるように見えないようにしたいという思いがあり、リアドアハンドルをヒドゥンタイプとしました。また、スピード感あるシルエットをより強化するという狙いと、かつ欧州で展開しているバイトーン(ツートン)化などへの対応も初期から想定しておりましたので、このようにAピラーの付け根とCピラーの上部をブラックアウトしたルーフ構成としています」

── リアについて伺います。ランプと一部リアパネルを、ボディより大きく後方に押し出す表現としたのはなぜでしょう?

「先のとおり、絞り込んだキャビン(アッパーボディ)と張り出させたホイールフレア、タイヤとの対比による足回りの逞しさ、スタンスの良さを表現することが狙いです。リアランプは、ダイヤモンドをモチーフとした形状を踏襲しつつ絞り込まれたキャビンをくわえ込むような構成として、そのグラフィックやLEDランプでの光り方も含め特徴付けています」

── では、まとめです。「個性的」「恰好いい」であることと、ボディに複雑な面やラインが多いことは必ずしも同義ではありませんが、C-HRではその点どのように考えましたか?

「まったくそのとおりだと思います。私たちも奇をてらうことはしておりません。造形テーマは前述のようにシンプルな立体構成が基点となっています。実際、線、面は多い造形ですが、シンプルなアイディアだからこそ、塊としてまとまって見えるよう造り込んできました。一見複雑に感じられるかもしれませんが、ひと塊としての一体感と、変化する線や面、作り込んだディティールに魅力を感じていただければありがたいと考えています」

── 最後に。強い「個性」を追求する場合、基本的なボディ構造や形状自体に変化を与えることが必要だと思いますが、C-HRではどうでしたか?

「まったくそのとおりだと思います。そこで、この車両の企画を始めたときに、パッケージがもたらす骨格に独自性がなければ狙いとする個性は発揮できないと考え、パッケージ議論も並行させていました。キビキビとしたスピード感を実現するためのショートオーバーハングと低重心シルエット。これを大径タイヤによりハイリフトさせることによる力強さ、逞しさとそれをより強調するボディの絞込み。これらをパッケージに落としむことで狙いとするコンセプトを表現できるよう進めました」

── 本日はありがとうございました。

一見複雑に見えつつ、構成はシンプルなところにある。ディテールやうねったラインに目が向かいながらも、しかし破たんを感じさせないボディの秘密は、実は文字とおりシンプルな理由なのかもしれません。

[お話を伺った方]

トヨタ自動車株式会社 トヨタデザイン部
C-HRプロジェクト・チーフ・デザイナー 伊澤和彦

(インタビュー:すぎもとたかよし)

一体感とディテールの両立は実現できる!C-HRのチャレンジ・デザイン(後編)(http://clicccar.com/2017/03/23/455873/)