黄色から緑色のキットへ。4月に高3となる中村駿太は、活躍の場を「高校サッカー」に移した。写真:安藤隆人

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 3月23日から26日にかけて、兵庫県で開催されるガバナーカップ。兵庫県選抜、ヴィッセル神戸U-18、姫路選抜U-18の地元チームに加え、ディナモ・ザグレブU-18(クロアチア)、ボルシアMG U-18(ドイツ)の欧州クラブ勢、そして、選手権王者の青森山田を招待チームとして招き、4日間に渡って熱戦が繰り広げられる。
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 開幕戦となった青森山田VSディナモ・ザグレブの一戦を前に、青森山田は関西国際大学と練習試合を行なった。
 
 筆者も開幕戦を前に、練習試合も取材に行こうと、関西国際大学グラウンドに足を運んだ。そこで、大きな衝撃を受けた。
 
 緑のユニフォームの青森山田の選手たちの中に、見慣れた顔があった。昨年のU-19アジア選手権の優勝メンバーであり、柏レイソルU-18のエースストライカー、中村駿太だ。小学時代から柏の下部組織で育てられた(全日本少年サッカー大会では、通算23得点の大会記録を樹立)逸材だ。今月、青森山田への転入を決めたのだという。
 
 黄色のユニフォームではなく、緑色のユニフォームを纏った彼は、青森山田の4-1-4-1システムの2シャドーの一角として出場。A2チームだったが、FW三國ケネディエブス(新2年)、MF佐々木銀士(新2年)といったレギュラー候補が顔を揃えるなか、持ち味のキープ力を発揮した。当然、周りとの連携はままならず、自慢のスプリントも影を潜め、前半は本領発揮と行かなかったが、後半になると徐々にキレのあるプレーを見せはじめる。
 
 1-2で迎えた後半35分(45分ハーフ)、左からのクロスにニアサイドで反応すると、「肩の力が抜けた状態で撃てた」と、コントロールされたダイレクトシュートをゴール左隅に突き刺し、試合を振り出しに戻した。このゴールで肩の荷が下りたのだろう、以降、中村はエネルギッシュな動きを披露。布陣が4-4-2に変わり、三國と2トップを組むと、息のあったコンビネーションを見せ、前線でタメを作り、攻撃を活性化させた。チームも逆転に成功。大学生を相手に、青森山田が3-2の勝利を収めた。
 
「前半はチームとしてのやり方が分からなくて、どう動いていいか分からない部分があったんですが、後半になったら徐々に分かるようになって、どうプレーすべきかを考えることができた。ゴールはニアサイドに飛び込んだときに、あそこしかコースがなかったので、冷静に決めることができましたね。ホッとしています」と、試合後、中村は笑顔でこう語ってくれた。
「昨日、チームに合流をして、今日は試しに起用してみた。まだまだフィットするまでには時間が掛かると思うけど、それなりのプレーをしてくれた」
 
 指揮を執った正木昌宣コーチがこう語ったように、中村は昨日、兵庫で合宿を張るチームに合流したばかりで、この試合はあくまで“仮”デビュー戦。そこでいきなり初ゴールを奪うのだから、大したものだ。
 
「まだ全員の名前も覚えていないし、もっと周りを知って、自分も知ってもらわないといけない。ここに遊びに来たわけではないので、全力でここに来た覚悟をプレーで示したい。まずは午後の試合で、それを証明したいですね」(中村)
 
 午後には、16時キックオフのガバナーカップ開幕戦に臨む。現時点でのベストメンバーを組むことになっており、そこが彼にとって本当のデビュー戦になる。
 
 青森山田に転入した経緯、そして彼が口にした「青森山田に来た覚悟」とはどういうものなのか。それは、ディナモ・ザグレブ戦のあとに直撃したい。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)