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グルテンフリーダイエットというフレーズを耳にしたことがある人も少なくないのではないだろうか。グルテンとは小麦や大麦、ライ麦などの麦類に含まれているたんぱく質の一種でパスタやパン、ケーキ、ビールなどに用いられる。グルテンフリーとは、グルテンを食べない食事スタイルを意味する。

テニス界のトッププレイヤー、ノバク・ジョコビッチ選手も自著でグルテンフリーに取り組んでいることを明かしており、日本でも実践する人が出始めている。ただ、このグルテンをめぐり、ちょっと気になる調査結果が報告されているのをご存じだろうか。

海外のさまざまなニュースを紹介する「MailOnline」にこのほど、グルテンフリーダイエットに関するコラムが掲載された。最近の調査によると、グルテンフリーダイエットによって2型糖尿病に罹患する確率が高まるかもしれないという。

グルテンに対する免疫反応が原因で起こる自己免疫疾患としては、「セリアック病」が知られている。世界人口の1%が患っていると推定されており、この病気のせいでグルテンを摂取できないうえ、下痢や胃痛、膨満感などに悩まされている。

グルテンフリーダイエットはこのセリアック病以外の人の間でブームとなっているが、グルテンの摂取量を減らすことが長期的に健康に寄与するという証拠はない。

そこでハーバード大学のゲング・ゾング研究員は、グルテン摂取がグルテンを避けるべき医学的理由がない人の健康に影響を及ぼすかどうかを検証することを決意。グルテン摂取に関する3つの長期研究を調査し、その対象人数は約20万人にものぼった。

その結果、大部分の人のグルテン摂取量は一日あたり12g以下だったことが判明。さらに、この範囲内で最も多くグルテンを摂取していた人は、30年間の追跡調査期間中、2型糖尿病に罹患するリスクが他の人に比べて低かったという。逆に一日あたりのグルテン摂取量が4g未満にとどまっていた場合、グルテンの摂取レベルが高い人に比べ、2型糖尿病を発症するリスクが13%高まっていたとのこと。

ただし、これらの調査はグルテンフリーがブームになるより前に行われており、参加者の喫煙・飲酒歴に関するデータもなかった。飲酒などの因子が糖尿病リスクに影響を及ぼしている可能性もあるため、本当にグルテン摂取の有無が糖尿病リスクと関わっているかを調べるため、さらなる調査が必要と研究チームは考えている。

それでも、今回の調査結果は受け、ゾング研究員は「グルテンを摂取しても、2型糖尿病に罹患したり、肥満になったりという大きな悪影響はないのかもしれません」とコメント。そのうえで「したがって、グルテンの摂取を制限しても2型糖尿病予防にはならないどころか、グルテン摂取を制限することで、糖尿病罹患リスクを下げるのに役立つ穀物繊維や、全粒粉の摂取が少なくなってしまう可能性がある」との懸念を抱いている。

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○記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

(杉田米行)