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●アドビ、「Experience Cloud」を発表
米Adobe Systems(以下、Adobe)は3月21日(米国時間)、米ネバダ州ラスベガスで開催中の年次デジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2017」において、「Adobe Experience Cloud」を発表した。

これまで「Adobe Marketing Cloud」として提供していた製品群に、新たな製品群となる「Adobe Advertising Cloud」と「Adobe Analytics Cloud」を統合する。

かねてから同社では、マーケティングにおける顧客体験の重要性を訴えており、「Experience Cloudは、企業が優れた顧客体験を提供するための必要な要素を備えた、包括的なクラウドサービスだ」(同社)としている。

回数を重ねるごとに規模を拡大している「Adobe Summit」。2017年は前年比20%増の1万2000人が参加した。日本からも約200名の顧客/パートナー企業の担当者が参加したという。3月19日から23日までの5日間は、同社の顧客によるユーザー事例や、現在開発中の新機能紹介など、約300のセッションが開催される。

3月21日(現地時間)の基調講演に登壇した米Adobeで社長兼CEOを務めるシャンタヌ・ナラヤン(Shantanu Narayen)氏は、「多くの企業が顧客体験の重要性を認識しているが、ユーザーに提供されているデジタル体験(コンテンツ)は、十分といえない。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、音声やジェスチャーによるコマンド実行など、新しい体験を提供する技術は進化している。企業はこうしたトレンドを取り込み、顧客のニーズに応えていく必要がある。優れた顧客体験を提供できるかどうかが、市場のリーダーとなるか敗者となるかの分かれ道だ」と訴えた。

優れた顧客体験を提供するには、膨大なデータソース、複雑なアセット、様々なシステムをシームレスに連携しなければならない。そして、パーソナライズされたコンテンツを、ユーザーが欲しいタイミングで、最適なタッチポイントに配信することが不可欠だ。

「そのためには、オーディオセグメーション、キャンペーン、プロモーションなど、一連のアクションを自動化する必要がある。それを実現するのがExperience Cloudだ」(ナラヤン氏)

Experience Cloudは、同社のクラウドプラットフォームである「Adobe Cloud Platform」を基盤とし、「Marketing Cloud」「Analytics Cloud」「Advertising Cloud」のほか、「Adobe Document Cloud」「Adobe Creative Cloud」とも連携強化を図る。製品の“座組み”を変更したことについて、同社関係者は「顧客体験重視のビジネス(体験駆動型ビジネス)を実現するためには、現在の『マーケティング』の考え方では不十分だと考えた。今後は、ユーザーの潜在的ニーズを理解する洞察と、動画広告までも対象にした広告戦略、さらにユーザーにとって魅力的なクリエイティブのコンテンツも必須になる」と説明する。

Marketing Cloudには、マルチデバイス向け動画配信プラットフォームの「Primetime」、SNSマーケティングを行う「Social」、顧客の行動データに基づいてパーソナライズされたメッセージを提供する「Campaign」、コンテンツとアセットを管理する「Experience Manager」、コンテンツの最適化を図る「Target」の5製品が包含される。

また、「Analytics Cloud」には、複数のマーケティングチャネルから顧客データをリアルタイムに収集/分析する「Analytics」、オーディエンスプロファイルを構築する「Audience Manager」の2製品が包含される。これによりアドビのクラウド上で、オーディエンスデータを連携させることが可能。同社では「Analytics Cloud」を「顧客インテリジェンスエンジン」と位置づけている。

一方、新たな製品追加となったのが、Advertising Cloudだ。2016年に買収したオンライン動画広告プラットフォームが提供する米TubeMogulの機能を、製品として統合した。検索管理プラットフォームの「Media Manager Search」のほか、ディスプレイ、ソーシャルメディア、動画、プログラマティックTVでのバイイングを自動化する「Media Manager Demand Side Platform」、「Creative Cloud」と連携した動的なクリエイティブを最適化する「Media Manager Dynamic Creative Optimization」が包含されている。

Advertising Cloudの説明に登壇した米Adobe広告担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのブレット ウィルソン(Brett Wilson)氏は、「Advertising CloudはExperience Cloudの構成クラウドとして密接に連携する。これにより企業のマーケターは、あらゆるデバイス/スクリーンに対し、シングルプラットフォームから効果的な広告を配信できる」とコメントした。

●「Adobe Sensei(センセイ)」の機能強化も
また、基調講演ではExperience Cloudのコアとなる「Cloud Platform」の機能強化/新機能も発表された。同社のAI(人工知能)とマシンラーニングを統合したフレームワークである「Adobe Sensei」を、マーケティング分野に特化して機能強化した。

また、同社のクロスクラウドデベロッパーポータルである「Adobe I/O」とオープンAPI(Application Programming Interface)で、デベロッパーがCreative Cloudアセットやイベントにアクセスすることを可能にした。これによりデベロッパーは、クリエイティブファイルの変更や新しいCreative Cloudアセットの追加時に、自動的に最新コンテンツを更新することが可能になる。例えば、コーポレートロゴが変更された場合でも、最新のロゴを自動的に各コンテンツに組み込めるカスタムソリューションが構築できるようになる。

さらに、新機能として、タグ管理ソリューションである「Adobe Launch」も発表された。これは、タグのUI(User Interface)をアプリストアのようにすることで、作業効率を向上させるというもの。同社では「Experience Cloudとの連携構築、管理、継続的な更新をすると同時に、デベロッパーがコンテンツを市場投入するまでの時間を短縮できるだけでなく、Creative Cloudアセットを企業のワークフローに組み込みやすくなる」としている。

なお、Launchの初期導入パートナーには信用調査会社の米Dun&Bradstreet、米Facebook、米Twitter、ソフトウェア開発会社の米Zendeskが含まれているとのことだ。

(鈴木恭子)