シンプル&美しい!誰もが唸る「グラフ」作成のコツ12

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スケールの大きい話をプレゼンしても、上司や取引先の心を動かせなかった。その理由のひとつとして考えられるのは、話の根拠となるデータ、特に数字的な裏づけがないことです。

といっても、ただ数字を羅列すればいいわけではありません。実は数字は、それだけだと意外に説得力がないもの。色を使って強調したり、キャッチーなグラフに変換したり、見せ方を工夫して、初めてその数字の重要性が相手に届くのです。

グラフを作成する際の大事なポイントは、「比較」です。たとえば「今年の売り上げが3億円」という数字も、他社や過去、または市場と比較することによって、価値が理解しやすくなるのです。

そしてもうひとつ、見た者を唸らせる資料は、シンプルで美しいという共通点があります。自分で見やすいと思っていても、実は独りよがりだったというのはよくあること。社内やチーム内でフォーマットを共有し、ルール化を進めると、勝手な思い込みをなくしていくことができます。

■【記憶に残る色使いにしたい】

[1]グラフの基本をマスターしよう

表を作るのは、エクセルの基本中の基本。その表をグラフに変換するのも難しくないが、見た目に差が出やすい。グラフによって、見る相手に視覚的なインパクトを与え、資料全体にメリハリをつけよう。

(a)3社の売り上げが数字で比較された表。A社がトップであり、よく見るとA社の売り上げはC社の倍以上あることがわかるが、平坦な印象だ。

(b)まずはグラフのもとになる表全体を選択。「挿入」タブから、グラフグループの中にある、縦棒の図を選択する。

(c)棒グラフの数字を表示するため、棒グラフを右クリックし、「データラベルの追加」を選択。

(d)上部分に数字が追加された棒グラフ。数字が小さくて見にくい場合は、数字を右クリックし、フォントを大きめに調整しよう。

【完成】完成した棒グラフ。ただの数字が棒になって高さを得たことで、A社の売り上げがC社の倍以上あることもビビッドに伝わる。

[2]折れ線グラフの見栄えをよくしよう

エクセルでは凡例(データのタイトル)が表示される。しかしどの線が何を示すか、いちいち凡例を確認するのは面倒くさく、凡例がグラフ全体の中で邪魔になることも。そこで折れ線の端に項目を記すことで、より見やすいグラフを作りたい。

(a)線だけの折れ線グラフ。これだけだと、どの線が何を示すのかわからないため、項目をつける。

(b)項目をつけたい折れ線を右クリックして、「データラベルの追加」を選択する。

(c)データラベルを右クリックし、「データラベルの書式設定」をクリック。ラベルオプションの「系列名」を選ぶ。

(d)ラベルが「飲料A」を複数表示するので、最後の月以外の「飲料A」をクリックして、Deleteで削除。

(e)ひとつだけ残った「飲料A」のフォントをグラフと同色にすると、さらにわかりやすくなる。

【完成】凡例を確認する必要もなく、商品名と売れ行きがセットで頭に入る。ほかの色のグラフも同様に処理していこう。

[3]色使いにメリハリをつけよう

エクセルはさまざまな色が選べるため、思わず多用してしまいがち。しかしカラフルにしすぎると目障りなので、色使いにも注意を。強調したいグラフは赤に代表される暖色系で目立たせ、比較対象はグレーなど、地味な色でまとめるのがベターだ。

(a)同じ程度に明るくて濃い色を使用した、3本の棒グラフ。これでは強調させたい赤がいまいち目立たない。

(b)そこで色を変更したい縦棒を右クリック。「塗りつぶし」から、色を選ぶ。ここではグレーを採用。

【完成】強調したいグラフが赤ではっきり示された。「それ以外はグレーに統一」と決めておけば、色を悩む時間も省ける。

【POINT1】
折れ線グラフは、何色も使うと全体のバランスが悪くなる。赤とグレーで統一。

【POINT2】
円グラフは、ほかを全部グレーにするとわかりにくい。薄いグレーと濃いグレーを交互に。

■【成績が圧倒的なことをアピールしたい】

[4]折れ線グラフでダントツに見せよう

他社よりも売り上げが多く、さらに伸びている自社製品。それを数字がたくさん並んでいる表で表現しても、思うほどにナンバーワンの事実が伝わらないことがある。そういうときこそ、グラフの出番。折れ線グラフを使って、一番であることを視覚化させよう。

(a)他社の飲料B・Cよりも売れていて、さらに成長率も高いA。2点も強みがあるのにもかかわらず、数字の表だとフラットに映る。

(b)折れ線グラフを出すため、まず表の数値全体を選択する。そして「挿入」タブから「2-D折れ線グラフ」をクリック。

【完成】折れ線グラフに変換したことで、ほかの飲料よりも売れていること、さらに成長スピードもトップであることが伝わる。

グラフを使い分けよう!

▼棒グラフ
棒の長さで値を表現し比較できる、非常に使用頻度の高いグラフ。太さや色を変えたり、数字を入れたり、工夫できる余地も多い。

▼折れ線グラフ
データがどう推移したかを表すグラフ。時系列のデータで使用したい。傾向を把握したり、将来を予測するのにも適している。

▼円グラフ
全体のデータのうち、各項目がどれだけの構成比を占めているのかを表現。量よりも割合を強調したいときに便利だ。

▼面グラフ
時間の経過による総量の変化を示すグラフ。項目ごとと全体の合計値が把握できる。色の部分が多いので、資料にメリハリもつく。

▼散布図
気温と売り上げ、顧客の満足度と店内の滞在時間など、2つのデータにおいて相関関係があるかないかを確認するグラフ。

▼ウォーターフォールチャート
変動する数値の中で、要因別の推移を表現する。決算発表などでよく使われる。通称・滝グラフ。

■【実際よりもよく見せたい】

[5]棒グラフで差を強調しよう

現在の売り上げはナンバーワンながら、最近、競合に追い上げられ苦戦している……。そんな状況を資料化する際、時系列のグラフで示せば、不調であることがわかってしまう。アピールすべきは、「現在の売り上げ」という一点だけ。それを棒グラフで表現してみよう。

(a)折れ線グラフで表現すると、他社の成長が著しいことがよくわかる。近く逆転されそうな不安も。

(b)元データの表の中から、棒グラフを作りたい2016/1の数値を選択。「挿入」タブから「2-D縦棒」を選ぶ。

(c)棒グラフが完成。「現在の売り上げはナンバーワンです」と堂々と主張できる。差をもっと強調するために、縦軸の値を広げよう。

(d)縦軸を縮めるには、縦軸を右クリックし、「軸の書式設定」→その中の境界値にある「最小値」を「200」から「400」に変更する。

【完成】起点になる数字が変わったことで、同じ内容のデータを示しているにもかかわらず、先ほどのグラフよりも差を感じるはず。

[6]点線で将来の成長を感じさせよう

売り上げは他社よりも劣るが、最近伸びている製品をアピールしたい場合は、推移を伝えて成長を強調すべく、折れ線グラフを使用したい。さらにさまざまな手法を使うことで、事実を曲げずに、成長スピードや将来性を“演出”することも可能になる。

(a)その時点の数量を比較するのに適した棒グラフ。並べると、市場において2番手であることが歴然だ。

(b)前述した手順で棒グラフを折れ線グラフに変換。飲料Bとの差を縮めていることがわかる。

(c)さらにグラフの横幅を詰めてみよう。すると赤線の角度が急になり、前のグラフよりも、さらに勢いがあるように見える。

(d)さらに先の線を引くため、「挿入」タブから「図形」→「直線」。オートシェイプで線を作成。

(e)2016年2月の列を追加し、角度を合わせ線を重ねる。線を点線に変えるには、右クリック→「図形の書式設定」。

【完成】翌月には売り上げが逆転しているという将来予測を含んだグラフ。今は2番手という事実よりも、将来伸びそうな予感を相手に与えられる。

■【ライバルとの差を際立たせたい】

[7]圧倒勝ちなら円グラフで真っ赤に

業界の中で圧倒的な力を誇っていることをグラフで強調したいなら、構成比を表現するのに適した円グラフを使いたい。割合が円に近いほど、「一人勝ち」を直感的に伝える効果もある。さらに色を加工することで、市場における優位性がダイナミックに伝わるはずだ。

(a)売上シェアの表。数字を並べただけでも十分な差があることはわかるが、グラフを使えばさらに効果的に強調できる。

(b)まずグラフにしたい表の数値を選択。その後、「挿入」タブから「2-D円」を選ぶと、円グラフが表示される。

【完成】自社を赤色、他社をグレーで表現して(スキル3参照)、メリハリをつけよう。シェアが3/4以上を占めていることが明らかに。

[8]差が微妙なら、棒グラフで強調を

項目が多く、圧倒的なシェアを誇ってない場合に円グラフを使うのは危険。なぜなら円の中の構成比が小さく映り、「たいしたことない」という印象が逆に残ってしまうため。差が微妙であれば、棒グラフを採用し、さらに見せ方を工夫していこう。

(a)アピールしたいのは、構成比において40代がトップである事実。しかしほかとの差が小さく、1位ということがよくわからない。

(b)ここで選ぶべきは円グラフではなく、棒グラフだ。元の表の数値を選択し、「挿入」タブから「2-D縦棒」を選ぶ。

(c)表示された縦棒グラフ。しかしこのデザインではまだ迫力に欠けるため、40代が目立つようにカスタマイズする。

【完成】グラフに数字を追加(スキル1)、赤とグレーの色分け(スキル3)、縦軸の調整(スキル5)などの技を駆使して、表が完成。

■【複雑なグラフをスッキリ見せたい】

[9]シェアの変化は積上縦棒グラフで

円グラフはスペースを必要とする。複数あると場所をとり、小さくすれば数字や文字などの表記が目立ち、本来の効果を発揮できない。そこで同じく構成比を示す、100%表示型の積上縦棒グラフを使おう。コンパクトにおさまり、時系列の増減も把握しやすい。

(a)順調に業界シェアを伸ばしているA社。しかし円グラフを並べて表現すると、円が転がっているように見えて、シャープさに欠ける。

【完成】積上縦棒グラフのほうが、シェアの変化がよくわかる。内訳の数字を全部入れると見づらいので、思いきって表示しないのも手だ。

[10]棒グラフも色使いでひと工夫を

内訳を横に並べた棒グラフは見映えが悪い。内訳と合計がわかる積上縦棒グラフにするとスッキリする。そして色合いも気を使おう。主張の強い色ばかりだと、目がチカチカするので、なるべく穏やかな色合いでまとめる。

(a)商品別の売り上げを横に並べた棒グラフ。飲料Aが成長していることは伝わるが、合計でどれだけ伸びているか、はっきりしない。

【完成】積上縦棒グラフにしたことで、全体の推移が一目瞭然。またパステルカラーに統一したことで、グラフにまとまりが出る。

[11]トレンドの変化は面グラフで見せよう

面グラフは、時間の経過による変化の量を強調する。グラフ全体が塗りつぶされるので、与えるインパクトは絶大だ。名前通り、「面」を見せるのが売りなので、こまかい数値をあげるより、トレンドの変遷など、大きく連続性がある変化を示すときに用いたい。

(a)積上縦棒グラフで表現された統計。いつの時代に、どれだけのシェアを占めていたか、大体の数値が把握できる。

【完成】左のグラフよりも、シェアが劇的に変わったイメージが伝わる。ただし比較対象の項目が多い面グラフは見にくいので気をつけよう。

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熊野 整
モルガン・スタンレーの投資銀行部門で、顧客企業のM&A、資金調達案件に携わる。現在は、スマートニュースにて財務企画担当。全国でエクセルセミナーや企業研修を行う。著書に『外資系投資銀行のエクセル仕事術』。

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(エクセル指導=熊野 整 文=鈴木 工 撮影=竹井俊晴 写真=平地 勲)