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東京大学出版会(東大出版会)、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)、PHP研究所、ベルリッツ・ジャパンの4者は3月22日、グローバル化に対応する次世代の人材育成を目的とした教育サービス「BizArts」の提供を2017年4月17日より開始すると発表した。

同サービスは、社会人として、グローバル化が進展する現代において、多様な価値観・歴史観を持った人たちと文化の相違を越えて、信頼関係を築き、ビジネスを円滑に進めることを目指し、専門技術・知識やビジネススキルではなく、その根底となる、歴史や哲学、宗教、文化、社会といった基礎的な学問・教養(リベラルアーツ)を元に、物事の本質を見極め、判断できる能力を養うことを目的に提供されるもの。

コンテンツの監修を行っている東京大学 総合文化研究科/情報学環 石田英敬 教授は、「現代は、何が真実であるのか、いろいろな情報が氾濫している中、自分自身がその情報について、正しいのか、本当にそれを見極めるためにはどうしたらよいか、を誰もが考える必要が生じてきた。今回の取り組みは、そうした中、大学が蓄えてきたノウハウと、社会の中で稲盛和夫氏(京セラ名誉会長)や、故 松下幸之助氏(松下電器産業、現パナソニック 創業者)が培ってきたフィロソフィ(哲学)がリンクすることで、新たなリベラルアーツの在り方を考える大きな動きが起きることが期待できるもの」と同サービスを評価。大学の基礎教養講座などで培ってきたノウハウと企業の経営哲学が、同じプラットフォームに載ることで、リベラルアーツの位置づけが、これまでの大学をはじめとする教育現場の中だけに閉じられていた時代から、広く社会に開かれたものへと変化していくきっかけになる可能性があるとした。

実際のサービスとしては、東大出版会による「宗教」「歴史」「政治」「科学」「哲学」「文化」「社会」「情報」といった学習コンテンツ(講座)が提供されるほか、稲盛和夫氏ならびに松下幸之助氏の「経営哲学」が提供される。また、PC、スマートフォン、タブレットに対応する学習プラットフォームも同時に提供され、テキストの重要箇所をマーカーで色づけしたり、気づきメモをつけたり、コミュニティでの議論を展開したり、といったことも可能となるという。

学習コンテンツについては、会員登録のみで利用可能な価値観の違いを知るための基礎力を養うための無料学習用プログラム「プロローグ」を最初に受講。その後、「自己を認識・理解する」「社会・経済の仕組みを知る」「グローバル視点を身に付ける」という3カテゴリ分けられた講座を受講するほか、経営者の考え方を学ぶ「実学講座」の受講も併せて行うといった形となる。

月額は1ユーザーあたり1250円(税別)で、4月17日のサービスローンチのタイミングでは、プロローグに2講座、リベラルアーツ5講座、実学2講座の9講座が用意され、リベラルアーツに関しては、今後24カ月にわたって、毎月2本ずつ講座が拡充されていく予定。また、実学のほうについては、企業研修などでの活用を想定したサービスということもあり、当該企業に許諾を得る形で、その企業の創業者が登場するコンテンツを作成していくといったことを進めていきたいとしている。

なお、コンテンツ提供元となる東大出版会では、「専門知識を与えるのではなく、考えるためのコンテンツをとにかく提供していきたい」とコメントしているほか、石田教授も、「近年、高大連携が言われるようになってきたが、高校から大学への連携と、大学から社会へ送り出す連携がさらに広がっていくと、そうした企業の知恵がより普遍的な社会の中にも息づくようになる。それは巡り巡って家庭内の教育にも波及し、昔であれば常識といわれていた落ち着いていた判断力が、現代の情報があふれる空間において、ややもすれば道に迷ってしまう情報過多の時代に対する判断力を育成する、という循環が生まれてくる。そして、それが家庭を通じて、中等教育、高等教育へとつながるという循環が生まれる。明治期に西周氏が"Encyclopedia"を"百学連携"と訳したが、現代も正に社会全体で常に学ぶことが求められる社会といえる」と述べており、今回の取り組みが、そうした動きの後押しとなることを期待したいとしていた。

(小林行雄)