サービスの統合進む、アマゾンの音声操作
米アマゾン・ドットコムは3月21日、米国で提供している音声アシスタントサービス「Alexa」で、同社の高速配送サービス「Prime Now」が利用できるようになったと発表した。
スマホやPC不要の高速便
Prime Nowは、同社の有料会員プログラム「Prime」の加入者向けに提供している当日お急ぎ便サービスだ。7.99ドルの追加料金を払うと、商品が1時間以内で届くほか、より遅い2時間配達を選択すると、追加料金はかからない。いずれも1回の注文の最低金額を超えれば利用できる。
ただし、これまでPrime Nowで商品を注文するには、アマゾンが無料で配布しているPrime Nowのアプリか、専用ウェブサイトを利用する必要があった。
一方のAlexaは、「Amazon Echo」「Echo Dot」といった同社のスピーカー型音声アシスタント機器や、同じく同社のタブレット端末「Fireタブレット」、映像配信端末「Fire TV」で利用できるアシスタントサービスだ。
アマゾンの説明によると、今後、Alexa対応機器を利用しているPrime会員は、これらの機器に向かって「アレクサ、Prime Nowで(商品名)を注文して」と話すだけでよい。
すると、Alexaは顧客の命令に応じ、Prime Now対象商品の中からお薦め商品を提案する。商品は一度に複数を注文することが可能で、最低注文金額に達すると自動的に、最も早く利用できる2時間便の配達時間枠を設定する。
その取り扱い商品種は数万点、対象地域は全米の約30都市になるとアマゾンは説明している。
一部地域でお酒の音声注文も可能に
アマゾンは併せて、Prime Nowが取り扱うビールやワインなどの酒類を、Alexaを通じて購入できるようにしたことも明らかにした。
Prime Nowでは、これまで米ワシントン州のシアトルと、その近郊を対象に酒類の販売を行っていたが、同社は3月15日、オハイオ州のシンシナティとコロンバスでビールとワインの取り扱いを始めたと発表していた。
Prime Nowの酒類販売は今のところ実験段階という位置付けだが、これをさっそくAlexaでも利用できるようにしたというわけだ。
なお、同サービスを利用できるのは、米国で飲酒可能な年齢の21歳以上で、配達の際にはIDの提示が求められるという。
Alexaのショッピング機能を強化
今回の話題について報じている米シーネットの記事は、アマゾンはAlexaのショッピング機能をよりパワフルなものにしようとしていると伝えている。
同社は昨年7月、Alexaで購入できる商品種を大幅拡大し、同アシスタントサービスに本格的な買い物機能を導入した。
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このほか、同社はPrime Nowの一環として、米国などでレストラン料理の配達サービスを提供しているが、今年1月、米国の約20都市を対象に、Alexaでこのデリバリーサービスを利用できるようにしたと発表した。
筆者:小久保 重信