槙野智章(撮影:PICSPORT)

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ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任し、最初に迎えた2015年3月27日のチュニジア戦で、槙野智章はCBとしてフル出場を果たした。その後も6月のイラク戦、シンガポール戦、8月の東アジアカップ全3試合、10月のシリア戦、11月のカンボジア戦とCBとして出場機会を得た。

ところが2016年に入ると6月のボスニア・ヘルツェゴビナ戦でやっと途中からピッチに立つが、これは左SBに入ったもの。10月のオーストラリア戦でも左SBでのフル出場となったが、出場試合はガクンと減ってしまった。

それでも監督は槙野を選び続ける。CBもSBもこなし、FKもシュートも持っている槙野は手放したくないのだろう。槙野自身もアルベルト・ザッケローニ監督時代に自身のユーティリティ性をアピールすると語っていたくらい、様々な役割をこなせることを誇っている。

「与えられたことと、役割や自分の立ち位置をしっかり考えて、自分のやるべきことをやるだけです。呼ばれたときに結果を出すのがプロなので」

監督から与えられる「やるべきこと」はあるだろう。では、槙野が「やらなければならない」と思っていることは何なのか。

「長谷部さんがいないので、チームとしてのまとまりを作り上げることが大事だと思うし、ピッチ上で混乱が起きないように、チームが何をしなければいけないのかという意思統一が大事だと思います」

「若い選手が監督との会話の中でクエスチョンがあったりするので、間に入るというか、混乱を招かないようにみんな同じ方向を向くというのが僕の仕事かと思っています」

どんな混乱が予想されるのか。槙野は「勝ち点3なのか、勝ち点1なのか」なのだと言う。

2016年10月のオーストラリア戦は、後半同点に追いつかれ、最後は逃げ切って勝ち点1を手にした。今回もある時点で、勝ち点の計算をしなければいけないタイミングが来るかもしれない。

そんな場面で、コミュニケーション能力が高く、攻守において期待できる槙野の役割はさらに大きくなるだろう。もしかすると守備を固めつつ、攻撃を担うために投入される可能性も考えられるのだ。

「攻撃にしろ守備にしろ、求められたことがしっかりできればいいと思っています」

槙野に笑顔は少なかった。それがこの一戦の大切さと、槙野が考える自身の役割の重要さを物語っていた。

【日本蹴球合同会社/森雅史】