北朝鮮の労働者数百人が、中国の丹東経由でロシアに向かったもようだ。また、別の数百人もロシア行きに向け、待機している状況だという。ロシアに派遣される北朝鮮の労働者が、中国経由のルートを使うのは非常に異例だ。北朝鮮とロシアは国境を接しているためだ。

韓国のNGO・自由北韓国際ネットワークのキム・ドンナム代表によると、丹東の2ヶ所の旅館に今月9日、数百人の北朝鮮労働者がやって来た。旅館は5階建てだが、彼らだけで満室となった。1週間ほどして、彼らはロシアに向けて旅立っていった。16日には平壌と平安南道(ピョンアンナムド)出身の男性200人がやってきて、現在21日の時点で宿泊している。

丹東を経由するルートは、かつて北朝鮮がロシアの内陸に労働者を送り出す際に使われていた。空路より陸路の方が運賃が安いからだ。丹東からは、ロシア国境の満州里までの1600キロを27時間で結ぶ2686/7次列車が運行されている。運賃は、硬座(2等座席)で177元(約2900円)である。

ところが、中国共産党ハルビン市中央宣伝部はSNSの微博(ウェイボー)で、この列車は3月1日から6月22日まで閑散期のため、運休中であると伝えている。しかし、中国の一般客との接触を嫌う北朝鮮当局の意向で、貸切列車として運行されている可能性も否定できない。

派遣先のロシアで亡命し韓国にやってきた脱北者によると、このルートは10年ほど前に北朝鮮当局の指示で閉鎖されたが、最近になって新たに開通または復活した可能性があると指摘した。

この脱北者は、平壌から列車に乗り5日かけてロシア国境の豆満江(トゥマンガン)駅を経て、さらに1週間以上かけてモスクワに到着したと証言した。平壌とモスクワの1万キロを超える距離を8日と15時間かけて走る世界最長の国際列車があったため、中国経由にする必要はなかった。

しかしこの列車、今は運休となってしまったため、北朝鮮は油田のあるチュメニやモスクワ近郊など、ロシア西部に多くの労働者を送り込むために、中国ルートを復活させたものと見られる。

これと関連し、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)も、北朝鮮とロシアの両国は、平壌での実務会議で労働者派遣問題について議論し、国際社会の批判に逆らう形で、北朝鮮からの労働者派遣を拡大する計画を持っているものと思われると報じている。

中国の対北朝鮮情報筋は、安い労働力を求めるロシアがある限り、北朝鮮は労働者の派遣先探しに困らないだろうと見ている。丹東経由のルートを復活させたのも、派遣する労働者の数が多いことを示していると述べている。