アメリカ代表のマーカス・ストローマン【写真:Getty Images】

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母親に対する中傷に怒り、米代表ストローマンが決勝前日に滲ませた強い決意

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は残すところ1試合となり、プエルトリコとアメリカが決勝で雌雄を決することになった。22日(日本時間23日)にドジャースタジアムでプレーボールを迎える。2大会連続の決勝進出となったプエルトリコ、初の決勝となったアメリカともに勝てば、初の世界一。そんな注目の一戦を前に、2チームの間で揺れる胸中を吐露した選手がいる。アメリカ代表のマーカス・ストローマン投手だ。

 アメリカが21日(日本時間22日)に侍ジャパンに競り勝って準決勝を突破した後、米FOXスポーツ電子版はストローマンに関する特集記事を掲載した。記事によると、25歳右腕の母はプエルトリコ出身で、今回はプエルトリコ代表として出場することも可能だったという。実際、ストローマンは2013年の前回大会の後に、自身のツイッターで「幸いにも、僕の母そしてプエルトリコを代表してWBCに参戦するチャンスがある。信じられないよ」と綴っていた。

 しかし、今大会はアメリカ代表として出場することを表明。記事によると、この決断により、プエルトリコのファンから同投手や母に対して中傷するコメントが相次ぐ事態となったという。それを受け、ストローマンは日本戦後に「ソーシャルメディアでは、多くの人が母に対して酷いことを言っているのを知ってる」と語り、「僕の母親なんだ。いつも力になってきた。あらゆることにおいて、彼女はサポートしてくれた。母に対してのいくつかのコメントはリスペクトできないね」と憤りをあらわにしたそうだ。

出場国の選択は「とても難しい決断」

 2次ラウンドでプエルトリコと対戦した際にはストローマンが先発登板。5回途中を8安打4失点で降板した。その直後も母がツイッターで「プエルトリコのファンが息子そして私に対して酷いコメントをしている。それを見て悲しいし、困惑している」と綴り、ストローマンが「僕たちは大丈夫だ。そのような考えや言葉は許せないね。愛しているよ」と応えるやり取りがあったという。

 ストローマン自身、両チームの狭間で悩んだ時期もあったようで、米国代表での出場を決断した際、「とても難しい決断だった。ごめんね、母さん」とツイートしていたことも、記事の中で紹介されている。 

 そんな右腕は今では米国代表でのプレーに集中しているようで、プエルトリコとの決勝戦にも登板を予定しているという。記事の中で右腕は「待ちきれないよ。試合に出るのが待ちきれない」とコメントしている。

 WBCではその規定により、出場する国や地域の選択肢を複数持つ選手もいて、過去の大会と別のチームで出場している者もいる。ストローマンは今回が初出場だが、近年メジャーで頭角を現してきただけに、プエルトリコのファンからも期待を寄せられていたようだ。そのため、ストローマンの決断を“裏切り”と感じたファンもいたのかもしれない。

 自分自身に関係が深いチーム同士が決勝で相まみえることになったストローマン。迎える決戦では米国とプエルトリコのファンから大きな注目を浴びるに違いない。