アメリカ代表のジム・リーランド監督【写真:Getty Images】

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準決勝で日本に1点差勝利、先発・菅野を絶賛「メジャーリーグ級の投手」

 野球日本代表「侍ジャパン」は21日(日本時間22日)、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝(ドジャースタジアム)で米国と対戦。1-2で敗れ、2大会連続で準決勝敗退に終わった。しかし、初の決勝進出を果たした米国の名将ジム・リーランド監督は、侍ジャパンの戦いぶりを絶賛。「本当に感銘を受けた」と敬意を表している。

 オールスター級の選手を打線に揃えた米国打線は、侍投手陣を打ちあぐねた。ヒット数は、米国投手陣の前に沈黙した日本打線より2本多かったとはいえ、6安打と苦戦。2得点は、いずれも日本の守備のミスが絡んで奪ったものだった。

「彼らは基礎に忠実な、しっかりしたチームだ。それは知っていた。でも、彼らの投手にどれだけ感銘を受けたかは伝えられない。本当に良かったと思う。外角いっぱいに速球をコントロールしていた。3ボールからスライダーを投げた。かなり印象的だった」

 リーランド監督はこのように日本の投手陣を称え、特に先発・菅野智之投手の投球を「メジャーリーグ級」と表現。6回3安打1失点(自責0)6奪三振1四球の快投劇は、1997年にマーリンズを世界一に導き、パイレーツやタイガースでもスーパースターを手懐けて好成績を残し続けた名将に鮮烈な印象を残したようだ。

「今夜の日本の先発投手、彼はメジャーリーグ級の投手だ。彼はいいね。とても感銘を受けた」

 投手陣だけでなく、基礎を徹底し、細かいプレーを忠実にやってくる日本の野球にもあらためて「感銘を受けた」という。ただ、筒香や中田といった大砲を擁する今回の侍ジャパンは、従来の「スモール・ベースボール」とは少し違う印象を敵将に与えたようだ。

勝敗を分けた8回の「ミス」に言及、「我々がほんの少し良かっただけ」

「本当に感銘を受けた。前もって知っていたけどね。彼らは我々とは少し違う戦い方をするが、正直に言って、今日彼らはいくつかエラーを犯したとは思う。とても守備的だった。試合を正しく行った。スモール・ベースボールとリトル・ビッグボールの合いの子をやっていた。正直に言って、我々がするようなビッグ・ベースボールとまではいかないけれどね。バントをして、走者を動かして、盗塁した」

 チームとしての実力差はほとんどなかった。だからこそ、ミスが勝敗を分けた。4回は名手・菊池のエラーをきっかけに先制点を献上。同点の8回には、1死二、三塁のピンチで松田が三ゴロをファンブルし、三塁走者の生還を許した。結果的に、これが決勝点に。リーランド監督も、小さなミスにこそ最も大きな「差」があったと指摘している。

「(差は)1点だった。我々がボールに当てたこと。(決勝点が入った8回は)二塁と三塁に走者がいた。(バットに)ボールを当てて、(三塁走者の)クロフォードが得点した。日本はボールを少しファンブルした。決定的な場面で1つのミスをした。それで我々はアドバンテージを得た。でも、それはチームの差じゃない。言ったように、ミスでアドバンテージを得た。まさにこの一言に要約されている。今日、日本(の投手陣)はとても良く投げた。我々がほんの少し良かっただけだ」

 日本ラウンドは6戦全勝と快進撃を見せたが、最終的には2大会連続4強という結果に終わった。健闘は光ったものの、最後は打線がメジャー投手陣の前に沈黙し、小さなミスから最大の目標に掲げていた世界一奪還を逃したことも事実。わずかな「差」を埋めるための戦いが、これから始まる。