【産業医に相談】同僚、上司と上手くいかなくて悩んでいます

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対人関係におけるトラブルの多くは、コミュケーションのすれ違いによって起こります。ここでは産業医である筆者が、それらのすれ違いを回避するためのコツをいくつかご紹介したいと思います。

1:曖昧な日本語が生むすれ違い。大丈夫は大丈夫ではない

もっとも多い間違いは「大丈夫?」という問いかけに代表される、質問の意図が明確ではないあいまいな日本語に始まります。もしあなたが上司であるなら、部下には「大丈夫?」と質問するのではなく、「今伝えた内容についてもう一度いってみて」と聞くことで、情報の伝達精度は格段に上がります。

大丈夫という日本語は相手の不安の程度を聞いているだけで、理解の程度を確認したことにはなりません。あとになってミスが発覚した際に、なぜあのとき大丈夫といったのかという疑問や怒りを生んでしまう可能性があります。

もしあなたが部下の立場であるなら、「今の指示は・・・という内容で間違いないですよね?」と確認するべきです。小さなすれ違いは放置することで大きなすれ違いを生み、人間関係を悪化させる原因となるので、大火事になる前に火種を消す確認作業を怠らないことが大切です。

2:感情が生む判断ミス。怒りと上手に付き合うために

業務上の対話において感情の高まりを感じることがあるのであれば、アンガーマネージメントを学んでみるのもいいかも知れません。

もともとは育児における母親の怒りの感情のコントロールに用いられることが多い手法ですが、最近では職場における感情コントロールにもとても有効であるとされています。

業務上のやりとりで感情が上下することは精神衛生上も好ましい状況とは言えませんし、何より仕事での重要な判断を誤る原因にもなります。感情の高まりが原因で対人関係に悩みを抱える方は、育児コーナーにある簡単な入門本を読んでみることをお勧めします。

3:前向きに割り切り、複数のコミュニティを持つ

少しドライな言い方にはなりますが、そもそも職場は仕事をするところであり、気心の知れた仲間である必要は必ずしもないかも知れません。

趣味を多く持つ方はメンタル不調になりにくい傾向があります。趣味仲間や複数のコミュニティを持つ人は上手に複数の人に分散して依存することで、職場の人間関係に依存しすぎることなく業務中は仕事の内容に集中できる傾向があります。

以上のように、曖昧な日本語を避けて確認行為を徹底し、感情をコントロールして人間関係を前向きに割り切ることで、職場が変わらなくても今日より明日は少しだけよい職場に感じられるかも知れません。ぜひできるところから変えてみましょう。

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※ SFIO CRACHO / Shutterstock

【筆者略歴】

三宅 琢

医学博士/日本医師会認定産業医、メンタルヘルス法務主任者、日本眼科学会専門医、労働衛生コンサルタント東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野 特任研究員株式会社ファーストリティリング他 産業医株式会社Studio Gift Hands 代表取締役