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皆様、こんばんは。月に一度、私はデジタルという化けの皮をかぶります。

「野球界の最新鋭のデジタルな情報をお届けする」と謳いながら、あんまりデジタルじゃないことでお馴染み「プロ野球デジタルニュース」の憂鬱なお時間が今月もやって参りました。

この原稿はWBC真っ盛りの3月中旬に書いております。現在の侍JAPANは、前評判の低さを覆し、一次リーグからここまで全勝と軌道に乗り、世界一奪還待ったなし。「小久保監督の采配や発言って、もしかしてすべて計算ずくだったんじゃないの?」という巷説が宙を舞い、総スカンを喰らっていた巨人の小林捕手が国民的アイドルと化して、MVP候補になっている状態です。未来にいるあなたは、今これを読んでどんな気持ちになっていますか?

というわけで、今月は第4回WBCからデジタル情報をいくつか紹介します。

失点率の計算間違い!? メキシコが天国から地獄へ



はじめのニュースはルールからです。

WBCのルールには球数制限や、オランダ戦であった延長11回からのタイブレーク、ビデオ判定(1、2次ラウンドは本塁打判定のみ)。そして今大会からは1次ラウンドと2次ラウンドの間には、投手のみ入れ替えることができる「指名投手制」を採用。日本では広島の野村、大瀬良投手。横浜の石田、山崎康晃投手らが登録されましたが、入れ替えは行われませんでしたね。

そんななか、大問題となったのが1次ラウンドのプールD。3チームが1勝2敗で並んだ場合、2枠目をプレーオフで決めるのですが、そこに進めるのは、当該チーム間での対戦で1イニングあたりの失点率が上位の2チーム。これに該当したのがベネズエラとイタリア、メキシコの3チーム。

12日のベネズエラ×メキシコ戦で、11―9で勝利したメキシコがプレーオフ進出決定と大会の公式Twitterが報じましたが、その後、大会本部は一転「イニング数は投球回と同じとする」とし、ベネズエラのプレーオフ進出を発表。メキシコの初戦で9回に1死も取れずに4点差を逆転サヨナラ負けしたことで、失点率も1イニング減った計算となり、0・01差でプレーオフ出場権を失うことになってしまいました。イタリア戦でワンアウトだけでも取れていれば、メキシコだったんですけどね。



この裁定に試合中から「2点差ならばプレーオフ進出」と信じていたメキシコは唖然。4番であり、ドジャースの主砲A・ゴンザレス選手は敗退後、自身のTwitterでデジタルに怒りをぶちまけておりました。

ベイスターズを解雇になったロマック選手は結果を出せず



変わりましてほのぼのする話題です。WBC1次リーグ・プールCのカナダに所属するロマック選手が、大手スポーツサイト「スポナビ」が運営するアプリ「スポナビ プロ野球速報」のMVP投票で、3試合連続1位に選ばれました。

ロマック選手は昨年まで横浜DeNAベイスターズに所属。大きな期待に応えられず、帰国の途に着きましたが、今回のWBCでカナダ代表として選出。初戦のドミニカ戦では代打で出場も惜しくも三振。続くコロンビア戦では6番ライトで出場し、初安打も放ちましたが、最終戦のアメリカ戦では3打数3三振。カナダは3連敗で1次リーグ敗退となり、ロマック選手も8打数1安打5三振と、健闘むなしく残念な結果に終わってしまいました。

しかし、スポナビプロ野球速報の「みんなのMVP」では、3試合とも2位以下に圧倒的な差をつけての1位。ベイスターズ時代は人柄の良さが好かれ、カルト的な人気を誇っていたロマック選手。カナダに帰ってからも頑張って欲しいですね。

イスラエル代表チームの「幸運の守り神」って?



最後はアナログなニュースです。今大会でノーマークだったイスラエルが、1次リーグA組の韓国、オランダ、台湾を次々と破り3連勝したのは野球ファンならずとも驚いたはず。といっても28人中27人がユダヤ系米国人。日本で言えば、全国から推薦入学で集まった甲子園常連校的なチーム編成でしたが、さらに驚いたのが29人目に「幸運の守り神」がいたこと。「メンシュ」と呼ばれる身長約150センチのマスコット。ヒゲに帽子のおじさん人形がベンチ入りしてから、2次リーグのキューバ戦まで連戦連勝。一躍、幸運の人形として崇められました。

結果的には、その2次リーグで日本とオランダに敗れ、敗退してしまったものの、帽子のマークが六芒星でかっこよかったり、ユダヤの誇りを胸に選手たちの姿は、今大会を象徴するものとして強く印象に残りましたね。

それではまた来月。デジタルどころか最後にはアナログになってしまったPBDNでお会いしましょう。

文/村瀬秀信

※『デジモノステーション』2017年5月号より抜粋

むらせひでのぶ/ライター、コラムニスト、プロ野球観客。セイバーメトリクスとか武器にできたからいいなぁと憧れる40歳。数学2、血圧140。著書に「4522敗の記憶」(双葉社)、「プロ野球 最期の言葉」(イーストプレス)、「気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている」(交通新聞社)など著作多数。

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