急に悪寒が…。ただ寒いだけ?それとも病気の可能性?

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執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ

暖かい場所にいるのに寒気がして止まらないのが「悪寒(おかん)」です。

病気や発熱の前触れとされていますから、悪寒がするようなら、休んで休養をとったり、病院に受診することが必要です。

この時季、風邪やインフルエンザの前兆で悪寒がすることもよくあります。

悪寒と寒気について

冬の寒い時期、外に裸でいると寒さを感じます。

これは「寒気」です。

これにたいして、暖房のきいた室内にいるのに「寒気」を感じるというのは、異常な寒気といえるでしょう。

このような、違和感・不快感のある悪い寒気が「悪寒」です。

悪寒のしくみ(感染症の場合)

足元や背中がゾクゾクしたり、ガタガタ震えるような病的な寒気の「悪寒」。

症状が強い場合は「悪寒戦慄(おかんせんりつ)」ともいわれます。

たとえば、身体に細菌やウィルスが侵入すると、これらと戦って体温が上昇し発熱します。


それによって、細菌やウィルスの活性が低下するとともに身体の免疫力が高まります。

発熱時にはこうして、体温を外に逃がさないように血管を閉じ、体表面の血流を低下させる働きが起こります。そのため寒気が起こるとされています。

つまり、悪寒は細菌やウィルスと戦うための生理機能というわけです。

悪寒の原因となる症状や病気「高熱を伴う場合」

悪寒をともなう症状や病気はさまざまです。寒気の前後に高熱が出るときと、そうでない場合とがあります。

呼吸器感染症

・風邪


普通感冒とも呼ばれる風邪の場合は、せきやくしゃみ、のどの痛みや鼻水が主な症状なので、悪寒があるのは重症の場合です。

咽頭炎を起こしている場合などに現れます。

・インフルエンザ


寒気を伴う高熱、関節炎や倦怠感が特徴的な症状です。

全身がゾクゾクするような悪寒を引き起こすことがよくあるといわれます。

・肺炎


細菌やウィルスが肺に侵入し、炎症を起こして38℃以上の熱が1週間以上続きます。

風邪をこじらせたり、放置していたことから起こることも多く、呼吸が苦しくなる場合もあります。体力が落ちていたり、免疫力の弱い高齢者に多い二次感染ともされています。


肺炎の悪寒は、高熱が出る前に感じるときがあります。

尿路感染症

・膀胱炎、腎盂腎炎


大腸菌などが膀胱に侵入することで起こります。このとき高熱が出たら要注意です。細菌が腎盂(じんう)へ侵入して、腎盂腎炎(じんうじんえん)を起こしてしまうことがあります。

38℃以上の高熱や悪寒が強い症状としてあらわれます。

膀胱炎は下半身の冷えが主な原因といわれています。とくに女性に多い疾患です。

・胆嚢炎(たんのうえん)


胆のうにできた結石で胆のうが詰まり、細菌感染が加わって胆のうが炎症を起こしているのがこの病気です。激しい痛みを伴います。

そして、悪寒とともに38℃近い発熱をし、吐き気、嘔吐などの症状も現れます。

消化器感染症

・食中毒


ウィルスや細菌に汚染された食べ物・飲み物を摂ることで感染します。

下痢や吐き気、嘔吐、発熱などの「食中毒症状」を起こしますが、このとき発熱に伴って悪寒を感じることもあります。

とくに、サルモネラ菌の場合は、ゾクゾクと全身に悪寒を感じることが少なくありません。

・虫垂炎(盲腸炎)


盲腸の先の虫垂に炎症が起きる盲腸炎。


突然に急激な腹痛を起こると同時に、微熱が続いて、そのさい悪寒も感じるときがあります。

脳疾患

・脳血管障害


脳梗塞や脳出血などでは、意識障害や運動マヒと一緒に発熱の症状が出て、悪寒を感じることがあります。

・熱中症


熱射病など重度の場合、体温中枢の機能が低下して、高熱をきたし、悪寒も生じます。

悪寒の原因となる症状や病気「高熱は伴わない場合」

月経周期による場合

排卵後から次の生理までの「黄体期」は、女性ホルモン「プロゲステロン」の働きが活発になり体温が上昇します。

そして、生理が始まると体温は下がります。人によってはこのとき、ホルモンバランスがもたらすストレスに過剰に反応し、生理前や生理中に寒気を感じる人もいます。

更年期障害

卵巣機能の低下によって、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下する更年期障害。

とくに、自律神経の失調によって体温調節バランスが乱れ、温度への感覚不調をきたします。ホットフラッシュと呼ばれる「ほてり」や「発汗」が代表的です。
 

これらの反動として寒気が起こると考えられています。

ストレスとの関連

ストレスによって自律神経のバランスを崩すと、体温が上昇して微熱が持続し、それにともなって悪寒が生じることがあります。

悪寒が起こったとき:暖かく、安静にして!

違和感としての寒気である「悪寒」。発熱の前兆なので、安静にしましょう。

また、悪寒を感じたら、室温をあげる、厚着をする、暖かい飲み物をとるなど、暖かくして冷えから身体を守ることが必要とされます。

重症の場合は、内科を受診しましょう。


<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供