一般に、コーヒーは、豆が新鮮であればあるほど、美味しく淹れられるものとされているが、近年、ワインやチーズのように、一定期間寝かせることで風味や香りを高めるエイジド(熟成)・コーヒーが、じわじわと人気を集めている。

エイジド・コーヒーは、古くて、新しいコーヒースタイルだ。コーヒーが欧州に伝来した16世紀当時、中東イエメンやインドネシアなどで収穫されたコーヒー豆は、長い航海を経て、欧州に運ばれていた。その間、木製の船体や潮風に触れたり、温度や湿度が変化したりすることによって、より深く、豊かな味わいとなったコーヒー豆は、欧州で人気を集めたという。

しかし、スエズ運河の開通などによって海路が大幅に短縮され、新鮮なコーヒー豆の供給量が増えるにつれて、消費者の嗜好も次第に変化し、現代に至るまで、新鮮なコーヒー豆が主流となっている。昨今、欧米や米国を中心に広がるエイジド・コーヒーのトレンドは、数世紀ぶりの"リバイバル"といえよう。

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熟成に適したコーヒー豆は、酸味の少なく、しっかりと重みのある種類のものに限られている。常時モニタリングし、定期的に回転させて水分量を調整しながら、6ヶ月から3年程度、じっくりと寝かせることで、独特のうまみやコク、甘み、まろやかさが生まれるそうだ。

近年、大手コーヒーチェーンや食品メーカー、コーヒー豆焙煎専門店など、エイジド・コーヒーを扱う事業者が増えてきた。

スターバックスでは、2017年3月6日、ウィスキー樽で熟成させたコーヒー豆「Starbucks Reserve Whiskey Barrel-Aged Slawesi」を、米シアトルの焙煎工場兼テイスティングルーム「スターバックスリザーブロースタリー&テイスティングルーム」で限定発売。

エスプレッソ抽出システム「ネスプレッソ」でも、コロンビアで2014年に収穫されたアラビカ種の熟成エイジド・コーヒー「SELECTION VINTAGE 2014」を販売している。

また、米オレゴン州ポートランドの「ウォーター・アベニュー・コーヒー・ロースタリーズ」は、オーク樽で熟成させたスマトラコーヒーやピノ・ノワール樽で熟成したエルサルバドルコーヒーを販売するコーヒー焙煎業者としてコーヒー愛好家の間で有名だ。

日本でも、近年、熟成肉や熟成魚、熟成米など、食材のうまみを引き出す手法として、熟成が改めて注目されている。このような食のトレンドとも連動し、熟成コーヒーへのニーズも少しづつ広がりそうだ。

松岡由希子