パナソニックがハイエンドオーディオのブランド「テクニクス」の新製品を発表。年初にアメリカ・ラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクスショー「CES」でお披露目された新しいアナログプレーヤー、スピーカー、プリメインアンプの3製品が5月19日に日本で発売されます。

グランドクラスの新製品3機種でラインナップがさらに充実

国内ではアナログレコードの人気が若年層からシニア層まで幅広く再燃しているといわれています。アナログレコードのコンテンツ、再生機器への需要も徐々に増えるなか、かつて一世を風靡した“憧れのテクニクス”ブランドを冠したオーディオ製品が2014年に復活。

 

リファレンスクラスのR1シリーズをはじめとするこれまでのモデルに、今回発表されたグランドクラスが加わることでいよいよそのラインナップはスタンダードモデルの範囲にまで広がってきました。

 

では、ここからは今回発表された新製品3モデルについて細かく見ていきましょう。

 

「SL-1200GR」はアナログレコードの中級モデル。価格は14万8000円(税別)と、復活後最初のモデルである「SL-1200G」と比べておよそ半額ながら、上位機種の高音質化技術が惜しみなく投入されています。

↑上位モデルの高音質技術を継承する「SL-1200GR」

 

例えばその代表格は、新開発の「コアレス・ダイレクトドライブ・モーター」。アナログレコードを再生する際は、盤の回転を安定させることが音質の向上に直結するのですが、一般的なプレーヤーの多くはターンテーブルの周りにゴム製のベルトをまわして固定、回転させるベルトドライブ方式を採用しています。一方、テクニクスのプレーヤーは回転のムラや微細な振動を徹底的に抑えたモーターを搭載し、直接ターンテーブルを回転させる構造を採用している点が大きな特徴。これに強靱な本体のシャーシを組み合わせることにより、2008年発売のアナログプレーヤー「SL-1200Mk6」と比べて振動の制御性能を飛躍的に高めているのです。

 

また、レコード盤に音楽をカッティングした溝を正確にトレースするために、剛性の高いアルミニウム製のS字型トーンアームを採用。組み立てや調整は日本の熟練した技術を持つ職人がハンドメイドで行っています。

 

「SU-G700」はオーディオシステムの中核を成すプリメインアンプ。本機に音楽ソースを再生するプレーヤーと、音の出口になるスピーカーをケーブルでつなげば音楽を鳴らせる環境がひと通り揃います。

↑テクニクス独自のフルデジタルアンプを搭載するプリメイン「SU-G700」。価格は23万円(税別)

 

テクニクスでは2014年の復活以来、ハイレゾからアナログまで様々な音楽ソースの微細なニュアンスを正確に引き出すために独自開発のフルデジタルアンプ「JENO Engine」を同社の製品に搭載してきましたが、中級モデルの本機にも同じアンプが引き継がれています。そのほか、つなぐスピーカーの特性に合わせてアンプ側の特性を最適化することにより、心地よい音が鳴らせるようになるという独自のアルゴリズム「LAPC」も搭載。

 

また、筐体の内部は電源・アンプ・信号入出力部を3つのセグメントに分割して、互いの回路にノイズが飛び込んで悪さをしないよう、構造から徹底して高音質化を図っている点もポイント。フロントパネルはシルバーのヘアライン処理。大型の2連メーターも乗せたリッチなたたずまいに物欲が刺激されます。テクニクスの製品に限らず、アンプとしてPCやユーザーが元々所有するプレーヤー、スピーカーなど様々な製品との接続性を確保できるよう、入出力端子も豊富に揃えました。

 

「SB-G90」は高さが約1.2mほどのフロアスタンド型スピーカー。ハイエンドオーディオシステムの“音の決め手”になる要素はいくつもありますが、手もとに徐々に製品が揃ってきて、いろんな音楽ソースを鳴らせる環境が整ってくると、スピーカーの選択によっても「自分好みの音」を探求できる楽しさに開眼するはず。本日の発表会で実施されたデモンストレーションを試聴した限りでは、本機はとても聴感上の音域や解像感、力強さなど、様々な要素のバランスが非常に自然に整った上質なスピーカーといえそうです。

↑上質なサウンドを特長とするスピーカー「SB-G90」。価格は1本で24万9000円(税別)

 

スピーカーについてもやはりほかのコンポーネントと同じく、不要な振動をいかに抑えながら音楽のパワーをピュアに引き出せるかが“良質なスピーカー”を評価する分かれ目。その点、SB-G90はスピーカーユニットが不要な振動を起こさないように、ユニットの重心位置を固定して上下の不要振動を抑え込む「重心マウント構造」を採用しています。

 

ユニット自体も明瞭な中高域を再現する同軸2ウェイユニットに、悠々と響く低音が鳴らせる16cmウーファーと、それぞれ新規に開発されたものを搭載。キャビネットの内部には水平方向に4枚の補強板を入れて全体の剛性をアップ。不要な振動を抑えながら、電気回路の部分は別空間に収納することでノイズの影響を徹底的に排除する構造になっています。

 

 

より多くの人に上質な音を届けたい

発表会では、テクニクスブランドの事業担当役員であるパナソニックの小川理子氏がスピーチの壇上に立って、「スタンダード価格帯のグランドクラスを充実させて、テクニクスの上質な音や製品により多くの方が触れられる機会としていきたい」と今後の展望を語りました。サウンド/テクノロジー/デザインと、ハイエンドオーディオにとって不可欠な3つの要素をバランス良く追求してきた新生テクニクスブランドだからこそ、切り開ける新しいオーディオのリスニングスタイルに期待したいところです。

↑パナソニックの小川理子氏

 

さて、新しいテクニクスのグランドクラスシリーズはどんなところで試聴できるのでしょうか。パナソニックは東京と大阪に新製品を含むテクニクスのオーディオ製品を試聴できるショールームを構えていますが、この2箇所だけでは試聴できる機会はとても限られています。

 

そこで、パナソニックは移動式の体験スペース「Sound Trailer」を導入し、今年の5月から全国に展開する新たな試みを発表。こちらのSound Trailerはキャンピングカーを改装したもので、テクニクスの製品を試聴できるようリスニングルームを作り込んだとのこと。

↑5月に登場するテクニクスの移動試聴ルーム「Sound Trailer」。テクニクスのサウンドを全国のファンに紹介する

 

また、若年層のアナログファンにもテクニクスの魅力に触れてもらえるよう、新製品「SL-1200GR」にはコーネリアスの小山田圭吾さんがプロデュースする、リスニング環境のチェック音源を収録したアナログレコードが添付されることも決まっています。

 

テクニクスのWebページでは、ブランドのアンバサダーを務めるアリス=紗良・オットさんが新製品のインプレッションなどを語る特別コンテンツも公開されます。この機会に、多くのオーディオファンやDJがリスペクトするテクニクスのブランドについて見識を広げてみるのも良いのではないでしょうか。