フェス開催、ライブ増で“山口県”の注目度上昇中! ライブハウス・周南riseの店長に聞いた「期待の地元バンド」

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これまで「ウレぴあ総研」では、記事『震災を乗り越え…バンドを“育てる”ライブハウス「仙台MACANA」代表インタビュー』や、『ライブハウスの実情とは? 老舗「西九条BRAND NEW」スタッフに聞いた』など、全国のライブハウスへの取材を行ってきました。

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今回は、山口県の周南市にある「LIVE rise SHUNAN」にスポットをあてたいと思います。

なぜならこれを書いている筆者が山口県出身だから……という、とても個人的な理由なんですけど!

周南市といってもピンとくる読者の方は少ないかもしれません。2003年の合併によって現在の市名になり、人口は14万人ちょっと。山口県東部の中心となっている街です。

最近だと「周南(しゅうなん)」の「なん」を「ニャン」とかけた「しゅうニャン市」というエイプリルフール企画が一瞬バズり(覚えてます?)、今年から本格的に「しゅうニャン市」プロジェクトを進めているそうです。

マジかよ。

周南市というか、山口県は広島と福岡という大都市に挟まれているためバンドの全国ツアーでは飛ばされることも多く、当時周南市近辺に住んでいた筆者はよく歯噛みしていました。まあだいたい20年近く前の話です。

とはいえ、20年前は駅前もそれなりに活気のある街だったのですが、1990年代中盤から駅から離れた場所にショッピングセンターが出来て、徐々に人の流れがそっちに移ってしまいました。

全国どこでも起きていることですけれど、いわゆる「郊外化」ってヤツですね。

そんな商店街の中にあるLIVE rise SHUNANですが、名前の「rise」には、「商店街を盛り上げる」という意味も込められているそうです。

LIVE rise SHUNANは今年で10周年を迎え、2015年には新たに550人キャパのライブハウスRISING HALLもオープンしました。

近年は山口県でWILD BUNCH FEST.という大型フェスも行われるようになったり、地元で結成されたロックバンドLILILIMITが昨年キューンソニーからメジャーデビューしたり、ご当地アイドルの山口活性学園も全国で活躍中です。山口県の音楽シーンも徐々に盛り上がっているのでは? という気持ちになります。

というわけで、山口県の音楽シーンの中核をになうLIVE rise SHUNANの店長、ピッコロさんにお話を伺ってきました。

――LIVE rise SHUNAN(以下・周南rise)は2007年にオープンし、今年で10周年になります。

周南市周辺にはもともとBoogie House(※山崎まさよしがアマチュア時代に出演していたことでも知られるライブハウス。13年閉店)やTIKI-TA(※16年末閉店)などがありました。この地域のライブハウスとしては後発ですよね。

ピッコロ:僕は周南riseの店長になって7年目なんですが、オーナーの兵頭尚吾さんがもともと東京の高田馬場CLUB PHASEで店長をやっていたんです。

――元は東京のライブハウスで働いていたオーナーの兵頭さんが、どうして周南市でライブハウスをやろうと考えたのでしょうか。地元がこのあたりだったとか?

ピッコロ:兵頭さんは結婚を機に奥さんの地元の周南市に移って来て、ここを立ち上げたんです。

――ではご自身は周南市になんらかのツテがあったわけではなく……。

ピッコロ:ゼロの状態で、ひとりでやってたんですね。それが兵頭さんが26歳くらいの時だそうです。

――20代で決して大きくはない地方都市へ来て、ライブハウスを立ち上げる。それはすごい決断ですね。

――そして、ピッコロさんはどういった経緯で周南riseの店長に?

ピッコロ:もともとは地元で個人イベンターというか、バンドを呼んだり自分自身でもバンドをやっているので、企画をしていたんです。

――なるほど。

ピッコロ:ずっとバンドをしながら大型トラックの運転手をしていたんですけど、40歳くらいの頃にさすがに長距離運転手がしんどくなったのと(苦笑)、子供も就職して手が離れたので、そのタイミングでちょうど兵頭さんが「ウチに来ないか?」と声をかけてくれたんです。

もともと周南riseでもイベントをやることもあって交流があったんで。じゃあ第二の人生じゃないですけど、自分の好きなことをしようと思ったんです。

――いい話ですね。私は周南市近郊出身なのですが、昔から山口県ってバンドの全国ツアーでも広島と福岡の間だからほぼ飛び越されることが多かったんです。スターピアくだまつや徳山市民会館(現・周南市民会館)にたまに来てくれますけど、そもそも市民ホールでできる規模のバンドは限られてました。ブルースの老舗だったBoogie Houseはちょっと毛色が違いましたし。

それが、最近バンドのスケジュールを見ていると、「周南rise」の文字がよく目に留まるんですよ。

ピッコロ:うちは平日にもツアーバンドをガンガン受け入れてる方針なんです。昔は山口でのツアーバンドの受け入れ先が少なかったんですよね。それが兵頭さんのPHASE時代の人脈からだんだん繋がっていって、ツアーバンド、レーベルやイベンターの方に「山口県にこういうライブハウスがあるよ」というのを知ってもらっていったというか。

――そして2015年にはRISING HALLという550キャパのライブハウスもオープンしたとのことで。周南市にそんなに大きなライブハウスって私が地元で高校生やっていた20年前は考えられない……! たしか元はテアトル徳山という映画館ですよね。

ピッコロ:テアトル徳山が閉館して、空いていたところに新しくなにかできないかというかとで。

――出演するアーティストもスケジュールを見ると、SCANDAL(3月)、THE BAWDIES(4月)、BOYS AND MEN(4月)、BRAHMAN(5月)、BiSH(5月)、己龍(6月)……etc.人気のアーティストがジャンル問わず来るんですね。

ピッコロ:ホールとライブハウスの中間くらいですよね、今後この場所が受け皿になっていくと思います。

――ちなみに、近年アイドルやバンドが47都道府県ツアーを行うことが増えているように感じます。その影響はありますか?

ピッコロ:あります、それもまた嬉しいことですね。普段山口県に来ないようなバンドも来るので、一回きっかけを作ればまた来たいと思ってくれることもありますし。

――地元のお客さんと、他県から来る「遠征」のお客さんの比率ってわかりますか?

ピッコロ:バンドにもよりますが、まだ遠征のお客さんが多いかな。ここは駅から近いし、徳山駅は新幹線も止まるので交通の便が結構いいんですよね。六割くらいは他県からのお客さんという印象があります。

――他県から人が来てくれるのもうれしいですけど、地元の音楽ファンやバンド志望者も増えてほしいですね。私自身、地元を離れた理由の100個中のひとつに「好きなバンドが地元に来ない」というものがあったので……。

ピッコロ:やっぱり専門学校とかは九州の方が多いし、今でも地元を離れる子は多いのですけれど。地元の箱でライブして、気持ちに火がついて、音楽もっとやりたいと九州へ行ったり上京するバンドもいることが大事なのかな。

――音楽をやりたいという若い人が増えるといいですね。たとえば昨年メジャーデビューしたLILILIMITは山口県で結成されていますもんね。

ピッコロ:あの子たちは元々山口で始まって、ここにも出ていました。福岡に行って、上京してメジャーデビューしたんです。「山口県代表」といっていいかわかりませんが、頑張ってほしいですね。

LILILIMIT:山口県で結成された5人組ロックバンド。メンバーチェンジを経て福岡に活動拠点を移した後、上京。2016年に『LIVING ROOM EP』でキューンソニーからメジャーデビュー。

――地元出身のバンドがメジャーデビューするというのは、ここの音楽シーンにとっても刺激になるのでは。スケジュールを見ていると、地元の子たちの企画も結構ありますね。

ピッコロ:最近ようやく増えてきたって感じですね。そもそも「地元のライブハウスで企画をやる」という概念がなかったので。ようやく企画をやりたいって子が増えてきて、最初はわからないだろうから僕らも全面的に協力するよって感じです。今月も学生の卒業企画のイベントをはじめ、結構ありますね。

――最近はバンドだけではなくて、山口県でもご当地アイドルが活躍していますし。

ピッコロ:山口活性学園が頑張っていますね。彼女たちも最初の頃から付き合いがあって、RISING HALLでワンマンや企画もやってくれていますね。

山口活性学園:2011年から山口県を拠点に活動しているアイドルグループ。2017年1月には赤坂BLITZでのワンマンライブを成功させるなど、知名度は全国区に。

――スケジュールを見ていると、バンド、アイドルやアニメ系のDJイベントと幅広いですね。

ピッコロ:各スタッフがそれぞれいろんなジャンルに詳しいので、そこを活かしてこだわりなくやってます。そのジャンルで好きなバンドが来ると、そのシーンが盛り上がるので、僕らも頑張りたいところではあります。

――お話を伺っていると、良い循環が出来ていると感じます。ところで、2013年から山口県でもWILD BUNCH FEST.という大きなフェスが開催されるようになりました。その影響はありますか?

ピッコロ:それはありますね。世間の流れとして日頃ライブハウスには足を運ばないけどフェスなら行ってみたいという人は多いと思います。

WILD BUNCH FEST.はたくさん人が入っていますし、県内のお客さんも多い。そしてWILD BUNCH FEST.に出たバンドがツアーで周南riseやRISING HALLに出てくれると、興味を持ってくれる人も増えたんじゃないかな。

WILD BUNCH FEST.:関西〜中国地方のコンサートプロモーターである夢番地が主催する中国地方最大の野外ロックフェス。会場は山口きらら博記念公園。

――地元でバンドをやっている子たちも、「いつかはあのステージに立ちたい」みたいな目標ができたりとか。

ピッコロ:「フェスを観に行きたい」から「あのステージに立ちたい」に変わってきている最中ですね。

フェスが始まって3、4年経って、ようやく地ならしみたいなものが出来たのかな。実際LILILIMITは昨年WILD BUNCH FEST.のステージに立っていますし。

ピッコロ:エフエム山口でもフェスの関連番組や、「ワイルドショット」というオーディションイベントもやっているんですよ。そこで勝ち抜いたelephantというバンドもフェスのステージに立っています。

――ライブハウス、ラジオ局、フェスという良い連携がとれていますね。今地元で注目のバンドは?

ピッコロ:地元で頑張っている子たちでいうと……、HelloNewWorld、ソラミルコドモ、あとは駆け出しですけどDwarfって子たちがバンドを本気でやりたいと頑張っています。

あとは、元々ウチで面倒を見ていたDavinciってバンドも、最近拠点を東京に移して活動していますね。

――おお〜!(Davinciを検索する)Twitterのプロフィールに「拠点は東京気持ちは山口」! ウッ、地元に誇りを持っている……。これだけでファンになってしまいそう(単純)。 今後の目標はありますか?

ピッコロ:ここで育った子たちに大きなステージに立って欲しいですね。地元出身じゃなくても、ツアーバンドでも、最初は周南riseがガラガラだったバンドがフェスのステージに立っているのを間近で見ると、こみ上げてくるものがあります。

――これからもそういうバンドが増えてほしいですし、未来が楽しみですね。

ピッコロ:そういう夢をリアルに見ることができる場所が山口県にあるのはいいと思うんですよね。

――今日は良いお話をありがとうございました! 山口県の音楽シーンがもっと盛り上がってほしいです。