ケルンでは好調を維持する大迫勇也【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

連敗中のUAE戦、求められる新戦力の台頭

 日本代表は23日、ロシアワールドカップアジア最終予選でUAE代表とアウェイで対戦する。2015年のアジアカップではPK戦の末に敗退、最終予選初戦ではホームで逆転負けと日本代表にとって因縁の相手でもあるが、敵地での一戦では大迫勇也と原口元気が攻撃のキーマンとなるだろう。大迫は連敗した2試合に出場しておらず、原口もホームでの試合で終盤に出場したのみ。岡崎慎司や香川真司らは相手に研究され尽くしているが、代表で好調を維持する2人はUAEに脅威を与える存在となるはずだ。(取材・文:元川悦子【アル・アイン】)

------------

 日本の6大会連続ワールドカップ出場の行方を大きく左右すると言っても過言ではない23日の敵地・UAE戦(アル・アイン)。運命の大一番を2日後に控えた現地時間21日の日本代表は、今合宿3日目にして初めての公開練習を実施した。

 この日は前日までの猛暑とは打って変わって時折冷たい雨の降る涼しい気候となったが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のリベンジへの意気込みは強かった。長谷部誠(フランクフルト)という絶対的リーダーを欠く中、前日まで別メニューだった清武弘嗣(C大阪)、高萩洋次郎(FC東京)の2人も全体練習に合流。UAE対策を入念にチェックしたと見られる。

 長谷部の代役候補筆頭である今野泰幸(FC東京)は「UAEは前線にいい選手が揃っている。2トップ(アハメド・ハリル=11番とアリ・マブフート=7番)の能力があって、そこに10番の選手(オマル・アブドゥルラフマン)がスルーパスを出してくる感じ」と相手の警戒心を隠さない。

 2015年アジアカップ(オーストラリア)準々決勝ではPK戦の末に敗退、昨年9月に行われた最終予選初戦(埼玉)では逆転負けと、直近のUAE戦では苦杯を舐めさせられている。ワールドカップ出場権を手繰り寄せるうえでは、敵地での一戦で誰が得点を取って勝つかが重要になってくるだろう。

 最終予選初戦の日本は本田圭佑(ミラン)が早い時間帯に先制し、UAEの9本を大きく上回る22本のシュートを放ち、ボール支配率でも62,8%と圧倒しながらFKとPKの2失点に屈した。明日の決戦では「攻めても攻めても点が取れない」という悪循環を絶対に繰り返してはならない。そのためにも、前回UAE戦に先発しなかった新戦力の台頭が有効な手立てとなりそうだ。

ケルンで得点量産の大迫、チームを円滑に動かす潤滑剤に

 その筆頭が、目下ドイツで絶好調の大迫勇也(ケルン)だ。11月のサウジアラビア戦(埼玉)で岡崎慎司(レスター)を押しのけて1トップで先発出場し、前線でタメを作りながら攻撃を活性化させたのは記憶に新しい。

 昨年11月の時点でケルンではリーグ戦2得点にとどまっていたが、2017年に入ってアントニー・モデストと再び2トップを組むようになると得点ペースを一気に上げ、ここまで6得点まで数字を伸ばした。

 代表合流直前の3月18日に行われたヘルタ・ベルリン戦で決めた開始6分のスーパーゴールは現地メディアも絶賛。「気分的にいい状態で(代表に)入れたので、試合もスムーズに入れると思います」と本人も余裕をのぞかせた。

 今の大迫の凄さはゴールへの道筋が明確に見えていること。ヘルタ戦の先制弾について「思い切り打てたことはすごくいいことだし、ゴール前ではシンプルに頭をクリアにしてどんどん狙っていくことがやっぱり大事だなと改めて感じた」と語った通り、大胆さと勇敢さを実戦の場で確実に表現できるようになってきている。

 得点場面以外でもモデストへのラストパスを供給するなど、お膳立て役としても輝きを増している。チームを円滑に動かす潤滑剤としても大迫の力が非常に重要なのだ。

 加えて、メンタル的なゆとりが生まれたのも大きい。連敗したUAE戦の両方に出ていないこともあって、本人は「苦手意識もないですし、ただただ早く試合をしたい」と非常にポジティブだ。難しい中東でのアウェイ戦という点も「ドイツで毎試合何万って満員のスタジアムでプレーしているんで全然大丈夫」と全く気に留めていない。そういう存在がピッチ上にいることは間違いなくアドバンテージだ。やはり大迫は今や欠くことのできない攻撃のピースと言っていいだろう。

代表では得点源の原口。大迫との連係はUAEの脅威に

 大迫との競演で強い光を放つと期待されるのが、日本代表史上初となる最終予選4戦連続ゴール中の原口元気(ヘルタ)だろう。前半戦は最大の得点源としてチームを引っ張ってきただけに、この先も継続したいという思いは人一倍強いはず。ケルンで最前線の一角を占めている大迫と違い、ヘルタでの原口は2列目のポジションで守備的な役割も託されており、日頃から不完全燃焼感を少なからず抱えている。

 それでも、「サコちゃん(大迫)がいると前で収まるから起点ができる」と前向きに話すように、大迫との連係が深まれば生粋の点取屋としての本能を覚醒させられるのは確かだ。

「最終予選では僕が(得点を)取っていますけど、あそこで試合に出る選手は常にゴールを求められていて、ヘルタとは全然役割が違う。ゴール前に入ってフィニッシュを狙うことは絶対にやらないといけない。点を取ることは僕の一つの大きな役割。その役割を僕自身、すごく気に入っている」と原口自身も目を輝かせていた。

 前回UAE戦の原口は後半30分からの途中出場だったが、得点の欲しいところで決めきれなかった。その悔しさがタイ戦(バンコク)以降の新記録達成の原動力になった。その屈辱を思い出して原点回帰を図り、今回もフィニッシャーとしての存在感を強く示すしかない。

 大迫と原口、11月のサウジアラビア戦(埼玉)で先発した久保裕也(ヘント)らは、UAEにとっても未知なる新戦力に他ならない。本田や香川真司(ドルトムント)、岡崎は相手に研究され尽くしているが、彼らは脅威を与えられる存在だ。彼らがメンタル面で相手を凌駕し、ピッチ上を暴れ回ってくれれば、日本代表は新たな未来を切り開けるはずだ。

(取材・文:元川悦子【アル・アイン】)

text by 元川悦子