米国ボストンで600の公立校が授業で使う「世界地図」を変更

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米国マサチューセッツ州ボストン市の公立校約600校が、今月21日、授業で使用する世界地図をガル・ピーターズ図法のものに切り替えた。

お馴染みのメルカトル図法を廃止

日本と同様米国でも、学校の教室で使われている世界地図はメルカトル図法のものだ。ボストン市の公立校でも、今月21日まではそうだった。

メルカトル図法は16世紀ネーデルランドの地理学者、ガラルドゥス・メルカトルが1569年に完成させた地図の投影法。経度・緯度を示す縦横の線が直線になるため、船が磁石を頼りに航海していた当時にはよく合った地図だといえる。

だが、メルカトル図法による地図は、陸地の面積が非常に不正確だ。例えば、グリーンランドはアフリカ大陸とほぼ同じ広さに見えるが、実際はその14分の1だ。また、ヨーローッパとほぼ同じ広さに見える南アメリカは、実際はヨーローッパの2倍だ。

広さをより正確に

ボストン市の約600校が導入したガル・ピーターズ図法は、映画監督でもあったドイツの歴史学者アルノー・ピーターズが1973年に発表した地図投影法。19世紀スコットランドの聖職者ジェームス・ガルが考案したものと同じであることが後で分かったため、両者の名を合わせてガル・ピーターズ図法と呼ばれている。

この図法の特徴は、陸地の広さがより正確に表されること。(ただし、地球儀ほど正確ではない。また、大陸の形が不正確になるという欠点もある)

下にあるのはガル・ピーターズ図法による世界地図の例。(ボストンの学校に導入された現物ではない)

Wikipedia/Gall-Peters projection

Wikipedia/Gall-Peters projection

ヨーロッパ中心主義から脱する

今回の地図の切り替えについて、ボストン市で公立学校を管轄するコーリン・ローズ氏は「変わるのは地図だが、本当はそれだけではない」と言っている。

「これは1つのパラダイムシフトなんです。私たちは西欧中心主義に影響された固定概念を持っている。それから逃れて、別の視点で世界を見るにはどうすればいいか? 地図の切り替えは、そのための大きなターニングポイントなんです」

確かにガル・ピーターズ図法の地図を見ると、欧米先進国が意外に小さく、アフリカ、中南米、オーストラリアなどが思ったより大きいとわかる。

「国の大きさが不正確な地図を学校で毎日見ていれば、生徒が持つ国のイメージもそれに影響されるはず」とローズ氏は言っている。

メルカトル図法の地図を見て育ったわれわれには、すでに、欧米諸国は「大きい」ものだというイメージが植え付けられてしまっているのかもしれない。