77.05キロメートル離れた場所から撮影した67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。1ピクセルは1.41メートルに相当。白い矢印が指しているのは彗星内部の氷が露出し明るく見えるアスワン崖(2015年12月26日撮影、2017年3月21日公開)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】崖崩れが起きるのは、地球に限ったことではないとする研究結果が21日、発表された。

 英科学誌ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に掲載された論文によると、欧州宇宙機関(ESA)の無人探査機「ロゼッタ(Rosetta)」が2015年、太陽から遠く離れた暗い宇宙空間にある彗星(すいせい)の表面で、大規模な崖崩れを観測、写真に収めたという。

 この崖崩れで発生した約2000トンの岩くずのうち、99%は断崖の麓に堆積した。残りは、壮観なちりの噴流となって放出された。

 ロゼッタは「アスワン(Aswan)」と命名された崖の縁に生じた全長70メートル幅1メートルの亀裂に沿った壁面の崩落前後の画像を撮影した。彗星上で起きる崖の崩壊の直接的な証拠が得られたのは今回が初めて。

 2015年7月、ロゼッタが当時周回観測していた67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)から大規模なちりの噴流が放出されたことで、科学者らは崖崩壊が起きる可能性に注目していた。

 研究チームは、噴流の発生源がアスワン崖であることを突き止めた。

 5日後、ロゼッタ搭載の撮像システム「オシリス(OSIRIS)」で、アスワン崖の以前に亀裂が生じていた部分に「出来たばかりの、くっきりとした、明るい」縁があるのが観測された。

 この場所では原初の氷でできた67Pの内部が新たに露出しており、ちりに覆われた67P表面の他の場所より6倍明るかった。

 ロゼッタによる67P彗星探査ミッションでは、これ以前にも噴流が幾つか観測されており、崖の崩壊が噴流を引き起こしている可能性があるとの仮説が立てられていた。

 だが、今回の研究は「噴流と彗星上の崖崩壊との間の明確な関連性を初めて記録したものだ」と研究チームは論文に記している。

■生命の謎に挑んだロゼッタ

 2004年に打ち上げられたESAの探査機ロゼッタは、60億キロ余りを飛行して、地球から約4億キロの距離にある67P彗星に到達した。

 ロゼッタは2014年11月、彗星本体のさらなる調査を行うため、小型着陸機「フィラエ(Philae)」を67P彗星の表面に降下させた。

 ロゼッタとフィラエのペアによる探査ミッションの目的は、彗星をあらゆる角度から調査して、生命の謎を解明することだった。

 太陽の周りの楕円(だえん)軌道を周回している数十億個の彗星は、約46億年前の太陽系形成時の残存物と考えられている。

 ロゼッタ・ミッションでは、生命の構成要素である有機分子を67P上で発見した。

 彗星が若年期の地球に衝突して有機物質をもたらしたことが、地球上で生命が発生する一助となったとする説があり、この発見はその説を支持するものとなった。

 一方で、地球上の水は67Pのような彗星に由来する可能性は低いとロゼッタ・ミッションは結論づけた。
【翻訳編集】AFPBB News