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ペンシルベニア州立大学が、原子炉やガンマ線施設、放射線測定資源などのペンシルベニア州に存在する核研究施設を管理するために設立したのが「放射線科学技術センター(RSEC)」です。このRSECで運用されている世界でも最も古い部類に入る研究目的で建設された原子炉が「Breazeale Nuclear Reactor(BNR)」で、この中で実際に核燃料が反応を起こしている様子をGoProで撮影したムービーが公開されています。

Breazeale Nuclear Reactor: 60th Anniversary

http://www.engr.psu.edu/rsec60/

BNRは1955年に運転が開始されたアメリカで最も古い原子炉で、これまでに数々の改修が行われてきました。この原子炉は発電用ではなく完全に研究・教育目的で開発されたものなので、学生および研究員、その他研究機関や政府関係者、利益団体などが研究用途で利用することが可能。アメリカ合衆国原子力規制委員会から研究用の原子炉として運転免許を取得しています。

以下のムービーは、BNRを起動させ、出力を500kW・1MWと上げた後に停止させるまでの様子を収めたもの。ムービー中の「ブーン」という音は、水中に設置されている窒素ポンプから発生している音だそうです。また、ムービー開始時から1分56秒までと、8分以降は音量が大きめなので再生時にはボリュームに注意してください。

Breazeale Nuclear Reactor Start up, 500kW, 1MW, and Shut Down - YouTube

BNRは研究用の原子炉なので、発電などで使用される原子炉とは異なり1辺2メートルの立方体に収まるくらいのコンパクトなサイズ。もちろんコンパクトなので発電用の原子炉と比べると出力はとても小さくなっています。



撮影に使用されたのはGoPro HERO5で、透明な液体の中にドブンとダイブ。この液体は減速材として使用されている「水」で、粒子フィルターやイオン交換器により常に清潔な水になるよう管理されています。なお、1週間に1度浴槽内の水を全て交換するそうで、水質管理は徹底されています。



目の前に見えるのが原子炉の燃料棒



ムービーの1分40秒辺りで原子炉が運転開始。ここからムービーは6倍速で再生されているそうです。



燃料棒部分が青白く発光。これは「チェレンコフ放射」と呼ばれる現象で、核反応が連鎖的に起こって臨界状態にあるときに見られるもの。



ムービーの2分13秒辺りで原子炉の出力は500kWになります。見た目の変化はそれほどありませんが……



赤枠部分に気泡のようなものが見えます。ムービーを公開したアレックス・ランドレスさんによると、出力が200kWを超えると燃料棒で核沸騰が始まるのですが、この核沸騰はそれほど長く続かないそうです。また、BNRは発電用の原子炉ではないので出力も低く、燃料棒の中心部分は520度ほどまでしか上昇しないとのこと。加えて、燃料棒の表面部分は100度を超えないので、減速材として使用している水が沸騰することもないそうです。



さらに出力を上げ、ムービーの5分辺りで1MWに到達。燃料棒の上に見える気泡の量が段違いに増えています。



燃料棒をアップで見るとこんな感じ。



気泡は大量。



ムービースタートから8分ほどで原子炉が停止。ここからムービーの再生速度は4倍速になります。





発光がほとんど消えました。



そしてGoProは引き揚げられて……



最後にシャワーヘッドのようなものをあてられるのですが、これは放射線検出装置。もちろんGoProは浴槽内の中性子濃度が十分に薄い場所に設置して撮影しているのですが、浴槽内に入れたものは必ず放射線量を調べる必要があるそうです。なお、検出量に問題がなかったのでこのような貴重なムービーがYouTube上で公開できることとなったわけです。