(写真=本人提供)『ニュースルーム』のキャスター、アン・ナギョン

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朴槿恵大統領の罷免、中韓関係の葛藤など、日本でも注目を集めている韓国の政治問題。それらの問題を報じる韓国メディアは多数存在するが、今の韓国で最も視聴者の支持を集めているのは間違いなくケーブルテレビ局「JTBC」だろう。

というのも同テレビ局の報道番組『ニュースルーム』は、朴槿恵前大統領の国政介入事件をスクープした番組だからだ。

『ニュースルーム』のキャスターを務め、JTBCの社長でもあるソン・ソッキ(孫石煕)氏は韓国で「最も影響力のあるマスコミ人」12年連続1位と信頼される人物。日本でも「韓国の池上彰」と紹介するメディアもあったので、ご存じの方もいるだろう(個人的には「韓国の筑紫哲也」のほうがイメージが近いと思うが)。

そんな彼の隣で、同じく『ニュースルーム』のキャスターを務めている女性がアン・ナギョンだ。

2014年3月にJTBCにアナウンサーとして入社し、2016年4月からは『ニュースルーム』のキャスターに大抜擢されている。今韓国で最も人気と注目を集める女性キャスターといっても過言ではないだろう。
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そんなアン・ナギョンの魅力と素顔に迫るべく、インタビューを行った。

韓国ニュースキャスターの素顔とは

――お会いできて光栄です。まずはアン・ナギョンさんがキャスターを務めている報道番組『ニュースルーム』について教えてください。なぜ韓国で高い支持を集めているのでしょうか。

『ニュースルーム』はJTBCの夜のニュース番組です。私は月曜日から木曜日のキャスターを務めています。私たちの番組のニュースを一言に集約すると、「真心を持って真実に迫るニュース」と言えると思います。

ソン・ソッキ社長は大きく4つの方針を出しています。それは「真実」「公正」「均衡」「品位」。私たちはただ流されるようなニュースではなく、一歩深く踏み込んだニュースを提供できるようにいつも意識しています。そういった思いを視聴者の方が感じてくださっているから、支持と共感を得ているのではないでしょうか。

――たしかに一歩踏み込んだニュースが多いとうかがっています。アン・ナギョンさんの一日はどのような流れになっていますか。

日によって違いますが、まず午後14時から編集会議があります。ソン社長と各部署の部長、そして私が参加して今夜取り上げるニュースを決めていく。大体1時間くらいですね。その後、16時半から再び会議を行い、先の会議で挙がったニュースをさらに検討していきます。番組が始まる前には「今日のニュースルーム」として、フェイスブックでソーシャルライブを行います。そして20時から番組が始まるという流れですね。

退社時間は早くて22時、遅ければ23時を過ぎます。家に帰ってからは、私たち以外の放送局がどんなニュースを報じたのかチェックしています。朝起きて出勤の準備をするときも、スマートフォンでテレビやラジオニュースを聞く。こうやって改めて述べると、平日は一日中、ニュース漬けですね(笑)。

――そもそもアナウンサーになりたいと思ったきっかけは?

あまりに平凡かもしれませんが、小学生のときにテレビを見ながらアナウンサーという職業に憧れました。そんな思いがより具体化したのは、大学生になってから。情報放送学科に入り、勉強するほどにアナウンサーになりたいという気持ちが強くなりました。アナウンサーには、人と人をつなぐ大切な役割があると思いました。

――韓国では女子アナが人気の職業で、競争率がとても高いと聞いています。

私のときは倍率が2000倍だったと聞いています。なぜ合格できたのかとよく聞かれますが、正確な理由はわかりません(笑)。ただ、ソン社長がひとつだけおっしゃってくれたことがあります。それは面接のときの話。ソン社長に「なぜこんなに点数が高いのか。勉強ばかりしていたのではないか」と聞かれたんです。

私はソウルの夜景を一望できる八角亭から見た景色について話しました。そこからは数多くのネオンが見えるのですが、私を照らしてくれるネオンはひとつもありません。当時の私は経済的にも苦しかったし、進路に対する悩みも多くて…。自分を照らしてくれる光がひとつもないのならば、自ら輝く人にならなくてはと思ったんです。

自分が所属している学校で輝くためには、勉強を深く追求していくしかない。そう思って集中して勉強したから、点数も良かったと答えました。ソン社長は、それがとても印象的だったとおっしゃっていました。

――素晴らしい回答だと思います。実際にアナウンサーとして、心がけていることはなんですか。

アナウンサーというと、流暢な発音や発声など「手段」が重要だと思われやすい。もちろんそれらも重要ですが、私は言論人として自らがやるべきことを重視しています。つまり、もっと多くの人たちが幸せに暮らせる世の中にするために、少しでも力になれればと思っています。

ちょっと大げさで無謀かもしれませんが、「歴史を生きる言論人」になりたいというのが夢です。私の隣にそういう方がいらっしゃるので、自分も少しでも近づきたいと思っています。(後編につづく)

(文=慎 武宏)