学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題が国会で取り上げられ、議論の的となっている。その森友学園の子供たちの宣誓を「『ヒトラー万歳』と叫ぶのに等しい」と断ずる論文を、米国人の歴史学者が発表した。

 この女性学者は慰安婦問題で日本を長年、糾弾してきた人物である。森友学園を政治団体の日本会議に結びつけ、日本会議が安倍晋三首相を支援して日本を戦前の軍国主義や帝国主義に戻そうとしていると非難している。

 一方、この主張に対して別の米国人歴史学者は「不当な日本叩きだ」と反論する。

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安倍首相をヒトラーになぞらえるダデン氏

 米国コネチカット大学のアレクシス・ダデン教授はオーストラリアの国立大学が刊行する東アジアの政治経済誌「東アジア・フォーラム」のインターネット版(3月12日付)に「アベがスキャンダルにはまる」と題する論文を発表した。

 ダデン氏は日本歴史の研究を専門とし、ここ10年以上、慰安婦問題で韓国の主張を全面的に支持して日本を頻繁に非難してきた。特に安倍首相を激しく糾弾し、「右翼」「軍国主義者」「裸の王様」などというレッテルを貼ってきた。

 ダデン氏は同論文で森友学園の問題を取り上げて、安倍昭恵・首相夫人と学園の関わりなどを批判的な表現で伝えている。

 同論文で特に目につくのは、森友学園の園児が父母や安倍首相への感謝や中韓両国への非難を右手をあげながら「宣誓」として述べる姿を、「ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)の姿勢」に他ならないと主張している点だ。

「ハイル・ヒトラー」はナチス・ドイツ時代にヒトラー総統への忠誠を誓った言葉で、右手を45度ぐらいの角度であげる敬礼の際に発せられていた。ダデン氏は同論文の他の個所でも「子供たちのハイル・アベの敬礼」と書いており、安倍首相をヒトラーになぞらえる意図が明確である。

 またダデン氏は、森友学園の前理事長、籠池泰典氏が日本会議の会員だったことにも言及し、森友学園の教えが、明治憲法下での「天皇崇拝の狂信(カルト)」や帝国主義、軍国主義を復活させようとする日本会議の教えを基礎にしているとも述べる。

 日本会議当局は「森友学園とは関係がない」と言明し、現在の活動目標はすべて民主主義の枠内であり、軍国主義を排するとしている。だがダデン氏は、日本会議が日本の政治を牛耳っており、とくに安倍政権をコントロール下に置いていると主張する。

日本の子供は横断歩道を渡るときも手をあげる

 一方、ダデン氏のこうした主張への反対意見もある。

 米国ウィスコンシン大学で日本の歴史を研究したジェーソン・モーガン博士は、ダデン氏の今回の論文を全面的に批判する見解を発表した。

 モーガン氏は「ダデン氏は学者ではなく政治活動家であり、韓国の意を体する形で安倍晋三氏を長年叩いてきた。安倍首相をヒトラーになぞらえる今回の論文もその種の日本叩き、安倍叩きだ」と述べた。

 モーガン氏はダデン論文に対する反論を、ダデン論文を掲載した「東アジア・フォーラム」編集部に投稿した。同時にその内容をブログなどで公開している。

 モーガン氏はその抗議文の中で「森友学園も安倍氏もヒトラーとは明らかに無関係だ。ダデン氏がハイル・ヒトラーと決めつける子供たちの手のあげ方は、ナチスなどとはなんの関係もない。日本の子供たちは横断歩道を渡るときも、安全のために手をあげる」と指摘していた。

 日本の国会での森友学園論争が思いがけないところまで飛び火したと言えそうだ。

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筆者:古森 義久