ヌードモデルの撮影に小道具として使われたアライグマ(出典:http://metro.co.uk)

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言葉は話せなくても動物にも感情はある。予期せぬ撮影の小道具に使われたアライグマが、その後トラウマ症状に陥ってしまったことで動物園は広告会社を訴えた。英紙『Metro』や『Telegraph』などが伝えている。

昨年8月、ロシアのモスクワで子供たちのための触れ合い動物園「Animals Arn't Toys(動物はおもちゃじゃないよ)」にいるアライグマの“トーマス”が「Art-Msk」という会社が運営する広告キャンペーンに小道具として使われることになった。

どんな撮影かを事前に知らされていなかった動物園側は、後にトーマスがベッドの上で裸のブロンド美女に抱えられている映像を見てショックを受けた。動物園のスポークスマンであるヴィクトール・キュリーヒンさんがロシアの『channel 5-TV』に語ったところによると、飼育員のひとりがトーマスの変化に気付いたそうで、トーマスは撮影以降塞ぎ込むことが多くなり隅っこで眠るようになったそうだ。しかも動物園にやって来る人たちに対して攻撃的になり、一緒に檻で過ごす仲間も拒否するようになってしまった。ところが、女性の胸にだけは異常に興味を示すようになったという。

獣医に見せたところ、トーマスはショック症状に陥っていることがわかった。動物園側は「子供たちのための動物園にいるアライグマを卑猥な映像に使うのは間違っている」と苦情を入れ「Art-Msk」に広告を取り下げるように要求した。しかし「Art-Msk」はその要求を無視したため、10月に動物園側は地方裁判所に訴えた。しかしそれもまた無視されたために今年3月に再度、訴訟を起こしている。

このことに「Art-Msk」ビデオマーケティング課のヴァレリー・ボガトフさんは動物園側の訴えを「不合理だ」と話し、国営放送で流す広告だったために決して卑猥さを目的に撮影したものではないと主張した。

さらに「あのアライグマは、モデルのブラジャーまで奪い取りかじったんですよ。アライグマは警戒心が強いので、きちんと訓練を受けたアライグマを我々は要求していたんです。でもトーマスはまだ幼くて走り回ってばかりで何度も撮り直しをしなければなりませんでした」と話している。

動物園側が訴訟を起こすと知ったときも、「Art-Msk」側は冗談だと思っていたという。ところが相手は本気で訴え出たことでかなり驚いたのだろう、「これだけははっきりさせておきますが、当社は動物保護の権利を侵害したりなどしていません」とも述べた。

動物園側は「こういう広告に使われるとアライグマのイメージダウンに繋がります。この広告を見た人は今後、卑猥な映像とアライグマを結び付けて考えてしまうでしょう。映像ではモデルの胸元にトーマスが近付くシーンもありました。おそらく撮影クルーがおやつでトーマスの気を引いてそのように撮影したのだと思いますが、そんなことをすれば今後トーマスはいつも女性の胸の辺りにおやつがあると思ってしまいます」と言い、相当不快な思いをしているようだ。

しかし現在、トーマスはトラウマ症状から立ち直り元気を取り戻したという。問題となった映像は撮影が行われたスタジオのサイトには残っているが、YouTubeからは削除されている。

出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)